03
「え、あの、えーと、もう1回言ってもらえる…?」

私の目の前には何故か幸村と柳君。え、何このプレッシャーを与える組み合わせ。

「今日俺たちと一緒に昼食をとらないか?」

「、えっとそれはテニス部レギュラーとってこと?」

「違うよ。俺と柳と小夜さんで一緒にって事なんだけど、嫌かな?」

いつから名前呼びに?というか女の子も真っ青な綺麗な顔で頼み込む幸村君は確信犯なんじゃないだろうか。

「…………。はぁ、うん、いいよ。」

何だか黒いオーラ出てない?

「ほんと?じゃあ4時限目終わったらカフェテリアの前で待ち合わせでもいいかな?」

「うん、(どうでも)いいよ。」

「やった!じゃあまたね。」

「昼を楽しみにしている。」

何故か二人とも嬉しそうに帰って行った。

「…………うん、またね。」

もうこの際どうでもいいよ。なるようになれ。


「ごめんね、急に…。」

幸村君の顔に長い睫毛が影を落とした。何だかこっちが悪いことをしている気分になる。

「いや、大丈夫だよ。特に用事もなかったことだし。」

「ほんと?なら良かった。」

「わざわざすまない。」

「気にしないで。(ほんとにな!)」

これで面白くないことだったら承知しない。

「それより新作ができたらしいんだけど、小夜さん食べる?」

「…………は?」

「夢月が状況を理解していない確率89%。ちゃんと主語をつけろ、幸村。」

「え、あごめんね?ちょっとテンションがあがってて。ここのデザートのことだよ。食べる?」

幸村君って本当は女の子じゃあないんだろうか。女の私より女の子っぽい。

「あ、じゃあ…。」

「なら持ってくるからちょっと待ってて。」

「ちょっお金……」

「いや、必要ない。俺と幸村からのお詫びだ。急に呼び出して迷惑をかけただろう?」

「っ!」

柳君が横からにゅっと顔を出す。心臓に悪いからやめてほしい切実に。

「でも奢ってもらうわけには……」

「お前が食べないのなら残飯行き、だ。」

「、意外と卑怯なんだね。」

そんなこと言われたら断れないじゃないか。

「ふ、策士と言ってもらいたい。」

柳といるのは何だかいろんな意味で疲れる気がする。

「持ってきたよ!はい!」

いつの間にか幸村君が帰ってきて私の前にお皿を置いた。

「、はぁ。じゃあご好意に甘えさせていただきます。」

私のその一言に目の前の幸村と柳君が満足そうな顔をする。ちくしょう、グルかよ。

「ふふ、召し上がれ!」

生地にフォークを刺すと、ミルフィーユのような生地はポロポロと割れた。欠片を落とさないように口にいれるとクランベリーだろうか、程よい甘酸っぱさが口に広がった。相変わらず、中学生が使用するような食堂のクオリティーではないが、今さらつっこまない。

一口堪能したあと、私から話をきりだした。


「ねぇ、今日呼び出した理由、あるんでしょう?もちろん教えてくれるよね?柳君。」
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