![]() | 最近私には分かった事がある。それは、補正がついてるにも関わらず、仁王や赤也が私に夢中になってくれない理由に、だ。 きっと彼女、夢月小夜は私と同じだということ。彼女も大方神に願ったのだろう。自分の好きなキャラに愛してもらえるように。 私みたいにキャラ全員なんて指定しなければ、きっと私の補正より効果は強い筈だ。だから仁王と赤也は私に惚れないのだ。 そしてもう1つ、気づいた。いや、気づいたというよりまだ憶測の段階だけど、彼女は 傍観者、だ。 影でこっそりと動き狂愛とも呼べる愛を与えられ、最後には私(逆ハー主)を潰す。手始めに幸村が私の側を離れたのがいい証拠だ。 ジジッ 滅多に人の来ない中庭で私は考えを纏める。何処からか聞こえる古い蛍光灯からでるような幽かな音でさえ疎ましくんじる。 「このままなんてダメだ。下手したらブン太も柳生ももしかしたら他校のレギュラーたちだって皆取られちゃう…!そんなのやだ!皆は私のものなのに…!どうにかしてあの女を潰さなきゃ! …いっそこの際、ファンクラブも潰せないかな…。仕事が足りないだの、練習の邪魔してるだのウザいし。適当な奴らに襲わせよっかな…。」 頭で考えきれなくなり、ついつい口に出してしまう。けれども、きっと早く手をうたなければ私の念願が、私の××が奪われてしまう。 早く、早く、ハヤク、アイツをドウニカシナキャ…。 どろり、どろりと彼女の焦りが黒い渦となり更に広がっていく。 彼女の目に渦巻くは果たして欲望か、憎悪か、それとも……ー、 「結局答え教えてくれなかった……。やっぱり主様はいじわるだぁ!」 7、8歳の少年は口を尖らせ不満そうに呟いた。 「でも言わないってことは見てればわかるってことなのかなぁ?」 続けてそう言葉を紡いだ少年の顔からは先ほどの子供らしい表情は姿を消し、まるで狂気ともいえるかのような何かが見え隠れしている。 そんな少年の、否××の視線の先にいたのは…… 「まぁ僕はまだまだ見習いだし見てよーと!」 少年はそういうと、ある教室の窓枠からひょいっと飛び下りた。 その窓から見えていたのは…………―― ―――あの中庭。 |