02
授業が終わり、私は返却期限の迫っている本があったことに気付き図書館に寄った。ついでに何か借りよう、と思ったのだが…

「………。」

「………。」

「えっと、どうぞ。」

「いや、お前が先でいい。」

同じ本に同時に手が伸びるとかどんだけだよ。

「私別にこの本が特別借りたかったわけでもないので、どうぞ。まだまだ気になってる本もありますし。」

「ふむ、ならばお言葉に甘えさせていただこう。」

目の前の男の子が先におれた。でも私にはこの本より気になっていることがあるんだ。

「うん、どうぞどうぞ。」

私はにこりと愛想笑いを浮かべる。そして何気ないように言葉をはっするのだ。

「あ、そういえばさ、部活はいいの?練習始まるんじゃ…?」

ねぇ君はどっちなのかな、柳君。心酔派?正常派?それとも………
傍観派、とか?

「俺を知っているのか?」

なぁんて白々しいな。君は私を知ってるくせに。

「もちろん、我が校が誇るテニス部レギュラーだからね!知らない方が逆に珍しいんじゃないかな?」

「そういうお前は3年夢月小夜だな。授業はサボりがちだか成績は優秀で常に5番以内をキープしており、運動神経も優れているのに部活には所属していない。ちなみにサボり場所の定番は保健室。一部では保険医と付き合っているのでは、という噂がある。」

何処からか出てきたノートを広げ、スラスラと個人情報を読み上げる。てかそんな噂があるのか。

「うん、正解だよ。で、私の質問には答えてくれないのかな?」

「驚かないのか、…興味深い。部活には今から出る予定だ。」

「でも今からじゃ遅刻じゃない。時間を忘れてた?それとも

遅刻しても支障ない、と判断した?」

彼の動きが一瞬停止する。けれど彼が何派かによって私の楽しみも変化するんだよね。大方桑原君も同じ派だろうし。彼の身の振り方を知れば恐らく一石二鳥だ。
既に興味を持たれたっぽいからどれだけ興味持たれようが今さらどうでもいい。
だから―……


(私の為に引き出させて貰うよ、君の考え。)

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