ゆっくり進行
「ねぇゆーちゃん。ゆーちゃんって彼女いないの?」

「っぶ?!げほっ!ごほごほっ!」

いつものように保健室でサボっているとき、私が素直な疑問をぶつけてみると盛大にゆーちゃんが吹き出した。

「げほっ、おまっなに聞いてんだよ!///」

「何で赤くなってんのさ。
私はゆーちゃんカッコいいしモテるんじゃないかなーて思っただけだよ。」

「カッコいいって、お前なぁ!///」

「?何さ」

「………はぁ、もういいや。なんか疲れた。」

なんか1人で盛り上がって1人で疲れてるゆーちゃん。

「で、彼女いないの?」

「いねぇーよ!どうせ俺は哀れな片想いだよ!わりーか!」

急に逆ギレされた。触れてはいけなかったのだろうか。でも、

「いや、悪くないよ。
あのさ、人を好きになるってどういうこと?」

「は?、何お前好きな奴でもできたの?」

「違うし。急に真面目になんないでよ。
ただね、知り合いのある人への執着がなんだか凄くてさ。それって恋なのかな、てね?」

「執着、ねぇ。」

軽い気持ちで聞いたのに何だか真剣に考えてくれているようだ。切れ長の目が細められる。うん、やっぱりカッコいい。

「まぁよく分かんねーけど恋は盲目っつーしな。まぁ程度は酷けりゃ異常愛であることには違いねぇだろ。それが本人無自覚だったらさらにヤベェとは思うけどな。」

「ふぅん…。ありがと、ゆーちゃん。じゃあ私次は授業にでるね。
あ、早く恋が実るといいね!」

「うっせ!…………実ったら犯罪だっての(ボソッ) 」





授業終了のチャイムが鳴る前の閑散とした廊下をのんびり歩く。

(異常愛、ねぇ。)

ゆーちゃんのさっきの台詞が頭をよぎる。

(ま、十中八九無自覚っぽいし異常愛っていうんだろうなぁ…。)

ある少女のあの目が頭に浮かぶ。

(異常愛、異常愛、異常愛。うん、ピッタリだ。何だか面白くなりそうな予感がヒシヒシときてる。うわぁなんかテンション上がってきたかも(笑))

何だか面白くなりそうな響きに足取りも自然と軽くなる。

教室に着くのも待ち遠しく感じた。
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