02
がちゃり、と少し錆び付いた屋上のドアを開ける。
フェンスに近付き下を見下ろすとどうやら今日は女の子が外でサッカーらしい。先生がペアを作るようにでも指示をしたのだろうか。女の子たちはそれぞれ二人組を作っていた。

が、女の子の数は全部合わせると奇数だ。まぁ私が休んでるからなのだけれど。つまり、必然的に余りが1人、花井さんだ。

彼女が声をかけても、否、皆掛けられそうになったら急いで他の子とペアになりその場を少し離れているようだ。

「だから女の子は敵にまわさない方がいいのに、選択を誤ったよね花井さん。今そこに君を守ってくれるナイトはいない。さしずめ独りぼっちのオヒメサマ、ってところかな?
ね、仁王。君もそう思わない?」

「…………。」

せっかく話をふってあげたのに、仁王は無言で私の背中に体重をかけただけだった。

「なぁ、小夜。あいつなんなんじゃ…?
幸村も真田もブンちゃんも柳生も皆おかしいんじゃ、あんな女にずっと構いっぱなしでろくに練習もせん!一体アレはなんなんじゃ?!」

大方は予想通りというか定番というかな展開だが、一つ疑問。

「幸村も?」

あの人は人一倍警戒心が強いと思っていたんだけれど、違ったのだろうか。

「ん。いつもはあの女みたいのには全く引っ掛からんのに、今回は違ったんじゃ…。」

(ふぅん…。警戒心は強いのに今回は、ねぇ。彼女はもしかしたらなかなかの策士なのかな?)

「とりあえず、少し休むといい。落ち着くまでいてあげるからさ?」

以外と固い仁王の髪を優しく鋤きながら今回は特別ということにして、自主的に労ってやる。

そして私にもたれ掛かった仁王の頭を撫でてやりながら思う。
それにしても、と。

(何だか不思議な感覚が拭いきれないよなー。特にあの幸村まで、だもんなぁ。まぁこのまま仁王みたいのが少数派で終わるとも限んないか。)

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