![]() | ある朝、教室に入ると違和感を感じた。何だか女の子がイライラしているというか、攻撃的な雰囲気を纏っているというか…。 「おはよう。」 「あ、小夜さん!おはよう!」 取り敢えず近くのたまに話をする女の子と挨拶を交わす。 「今日は皆何だかイライラしてるようだけど、何かあったの?」 疑問は溜め込まずさっさと解消するに限る。と言うことで早速問いかけてみた。 「あぁ…。花井さんがね、マネになったんだよ。前からファンクラブの子からは嫌われてたんだけど、マネになった時に一変した態度に友達だったらしい子も離れちゃってさ。」 「一変?」 「何でも「私がマネになったからって利用しないでね?私にも皆にも迷惑だしウザいから。」っていいはなったらしいよ?友達信用してないの?って話だよね。」 「はは、すごいね。なかなか強烈な子だったみたいだ。」 「小夜さんも気をつけてね?ファンクラブの会長があのこのレギュラーへの執着心はヤバイって呟いてたし…」 流石は会長。観察眼に長けてるようだ。 「うん、分かったよ。ありがとね?」 「ううん!これぐらいなんてことないよ!」 それにしても面白い話だ。でも女子って怖いからなー。全員敵に回すようなことしない方がいいと思うけどね。 目線を窓の外にやると、皆の不機嫌の原因が丸井と談笑しながら仁王も引き連れて校舎へ向かっていた。 (わっ仁王顔死んでる!) 大方同じクラスだから!とでも言われて引きずられたのだろう。哀れ、仁王。 「ね、ブン太!宿題やった?」 「あ、あぁああ! ヤベェやってねー…」 「ふふーだと思った。見せたげるよ!」 朝からどこぞのいちゃいちゃカップルかってぐらいハートを飛ばしている(ように見える)二人。 皆花井さんの話を知っているのか、何だか視線が冷たいようだ。 (ま、私には関係ないけどー。当の本人も全く気づいてないようだしね。) 「はい、皆席つけー。」 と、ここで担任が入ってきた。手早く連絡を済ませてすぐに出ていったが。 「小夜さん、行かないの?」 先ほどの女の子に話しかけられた。どうやら次は体育のようだ。 「あぁ、うん。ちょっと体調悪いから保健室行くね。悪いんだけど先生に言っておいてくれないかな?」 「えっもちろんいいけど、体大丈夫?私ついて行こうか?」 「そこまで酷い訳じゃないから大丈夫だよ。ありがとう。じゃあ私行くね。」 何だかやたらと心配してくれたが、やんわりとかわして教室を後にした。本当に保健室に行くわけではないからついてこられても困るんだ。 back::next |