01-04  


「さ、これで完了です。」

佐助さんが我が家に居座って3日。やっと傷がふさがりを見せたのでとりあえず退院だ。

「世話になったね。」

「いえ、私が勝手にしたことですから。あ!薬、塗り忘れちゃ駄目ですからね!傷だってやっとちょっと塞がっただけなんですから!」

そうなのだ。ふさがりを見せたといってもまだまだ全快ではない。佐助さんがすぐに帰りたいと無理を言うのでしょうがないと譲歩した結果が3日と言うわけだ。

「分かってるってば!もう何回言うのさ!」

「だって佐助さんなんだか自分の体には無精しそうですもん。駄目なんですよ?ちゃんと自分を大事にしてあげてくださいね。はい、薬。もし足りなくなったらまた来てください。(それにせっかくの常連さん確保の予定がつぶれちゃうなんて嫌すぎるしね!)」

「……うん、…うん。分かったよ。ありがと。」

「分かってるくれたんならよかったです。それじゃあ、また!」

「じゃあね。」



side 佐助

死にかけの俺様を拾い、手厚い手当てまでした遥奈ちゃん。16歳という年齢ながら、あの膨大な知識と手際のよさには驚きを隠せなかった。16歳で一流の薬師以上の知識だ。
(いったいどれだけ勉強したんだか…)

それに、いかんせん人が良すぎるのだ。お人好しと言ってもいいぐらいに。
もしそこにつけ入られたら一体どうするのか……

しかし、その人の良さにどこか救われた自分がいるのも確か。常識的に忍なんてただの道具であり、そこら辺に生えている草となんら変わりはない。

(そりゃあ大将や旦那はそう思ってないけど、他のところでの扱いはそんなもんだしね。)

そんな中彼女は俺様を忍だと知りながら、そんな態度は微塵も見せなかった。俺様を1人の人として、猿飛佐助として見てる。そんな感じだった。一回殺されかけてるにも関わらず。

(一生懸命手当てして、薬作って、店切り盛りして、なーんか小動物みたいでほっとけないっていうかさー)

それに最後のあの言葉。
「自分を大事にしてあげてくださいね。」
本当に俺様のことを心配していた。(忍だからうわべか本気かぐらいはわかるんだよね。)

たった3日。されど3日。(ほんと、3日で俺様絆しちゃうとかどんだけだよ。)
こんなに簡単に忍が絆されるなんて忍も形なしだ。でも彼女にはそうさせる何かがあった。

(きっと俺様これからあの店に通っちゃうんだろーな。)

彼女のもたらす変化
(でも、それもまぁ悪くない。)
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