01-03  


イライラがおさまらなかった私は傷薬だけでなくストックがまだまだある薬までひたすら量産していた。

(あ、増血剤作んなきゃだった!)

薬草をきっちり量りすり鉢に入れ混ぜ合わせて行く。この増血剤は混ぜ合わせる薬草の順番を間違えると、全く効果を示してくれないので細心の注意を払う。そのあと、出来た薬を私製簡易カプセルに詰めて完成だ。

「ふー、」

「ねぇ、これ何?」

「?!けっ気配もなく近付かないでください!」
「ごめんね。で、何なの?」

猿飛さんの顔が好奇心一色である。猿飛さんは忍っぽいし、きっと薬草の配合に興味があるのだろう。

「増血剤です。噛まずに飲み込めば体内に効くようになってます。一応猿飛さんに。……いやなら別に飲まなくてもいいですよ。」

作ってから気付いた。忍だったら安易に人から食べ物貰わないんじゃ…?(薬だけど)

「ぷっ!貰うよ。あんたみたいなお人好しが人なんか殺せないだろうし、もしそのつもりだったとしても、今まで機会が一杯あったのに殺さなかったんだからありえないしね。」

そう言って猿飛さんは私の葛藤も知らずためらいなく飲み込んだ。

(私の葛藤を返せ!)

「あ、そうだ。俺様のことは佐助でいいよ。」

「は?いやいやでも歳上の方ですし…」

「え?遥奈ちゃん今何歳なの?」

「16になりました。」

「…こんなに落ち着いてて旦那より一つ下とか…!」

「?どうかなさったんですか?」

「いや、なんでもないよー。別に俺様歳とか気にしないからさ!なんなら佐助お兄ちゃんvでもいい「じゃあ佐助さんで」……あはー」

ていうかさっきから気になってたんだけど、

「動いて痛くないんですか?」

「これでも忍だからね。これぐらいへっちゃらって言いたいんだけど、薬がよかったのか傷の治りが早いっぽいんだよね。」

あれ、これ誉められてるの?

「ありがとうございます?」

「何で疑問形なのさ!島崎って前から名前は聞いてたけどまさかこんなに腕がいいとはね!俺様もこんど買いにこようかな?」

「ありがとうございます?あ、なんなら薬草も売ってますから気軽にぜひ!」

少し私のテンションが上がったため店を売り込む。だってお客さんが増える=収入増加じゃないか!お金はいくらあっても困らないしね!

「だからさ何で疑問形?ってそうなの?」

「はい、あ、これ値段一覧表です。そこにかかれてるのは全部揃ってますよー」

佐助さんがいきいきとした目で一覧表に目を通した。

「え!安っ!これがこの量でこの値段なの?!うわ、こんな草まで揃ってる!…俺様の今までの苦労っていったい……」

「どうですか?お目当てのとかあります?」

「ある!スッゴいあるから!もう俺様ここの常連客になる…!」

やたらと鬼気迫る勢いの佐助さんに少しひいたのは内緒だ。

お客さんが増えました

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