01-02
なんとか家まで運んだ私は、取り敢えず手当てを開始した。
「うっわ!傷だらけだし、おまけに撃たれてんじゃん。弾は貫通してるみたいだけど…
化膿どめどこやったっけなー」
余りの傷の多さに黙々と処置をしたにも関わらず、結構な時間がかかった。
「ふー、まぁこんなもんでしょ!あ、増血剤的なのも必要かな?でもいまストックきれてるしなーと、起きまし、た?」
1人色々と悩んでいると男の人が目を覚ました。かと思うと、何故か頸動脈にクナイが押し当てられている。
「ここはどこだ?」
「っく、薬を扱っております、島崎屋でございます。」
「島崎…?俺に何をした?」
「てっ手当てを…!」
肌にピリピリと突き刺さる殺気に体が何かに拘束されたように動かない。
男は自分の体を見て状況を理解したのか私の首もとからクナイをどけた。
「ごめんねー。一応仕事柄、確認って重要だからさ!」
へらり、と反省の色が見えない笑顔が向けられたが、未だに恐怖の余韻が残る私の体は首を動かすことしかできなかった。
「俺様は人呼んで猿飛佐助!あんたは?」
「あ、島崎遥奈、です。」
「本当にごめんね。命の恩人疑っちゃって。」
「い、いえ、この御時世ですからお気になさらないでください。
あ、あの、それと、まだ傷跡が塞がっていませんので安静にっ!」
「へ?」
「だから傷に触るので、もう先ほどのように急に動かないでください!」
「…………」
「??」
当たり前のことを言っただけなのに、何故か猿飛さんが固まった。
(私なんか変なこと言った?)
「……………ぷっ!あははははは!あははははは!ははははは!」
「?!」
急に男の人、猿飛さんが笑いだした。はっきりいって意味不明すぎる。
「さっき自分を殺そうとした人間心配するなんて、あんたお人好しっていうか、阿呆っていうか!あははははは!」
なんかスッゴい失礼なことを言われてる気がする。否、言われてる。しかも笑いのツボに入ったのか笑いっぱなしだ。
「っいいから病人は寝ててくださいっ!」
いらっと来たから彼に背を向け薬草で薬を作ろうと部屋を移った。後ろからまだ笑い声が聞こえた気がするのはこの際気のせいということにしておいた。
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