06ー05  


門に着くと案の定元親さんがいた。

「元親さん!ごめんなさい、お待たせしてしまって!」
「これぐらい別にどうってこ、と…」

声をかけ謝罪を伝えると、振り返った元親さんが固まる。

「おまっその着物…!」
「え、やっぱり似合ってませんか?」
「……は?」
「え?」
「あ、いや似合ってるぜ!と、ところで、その、女中たちは何か言ってたか…?」
「別に何も言ってませんでしたけど…。やっぱり何か大切な着物でしたか?」

さっきの女中さんたちの反応といい、元親さんの反応といい何だか私を不安にしかさせない反応だ。

「いや!似合ってるぜ!ほら、そろそろ出るぞ!」

しかしそんな私の心情を知ってか知らずか(恐らく後者だと思われる。)元親さんはいつものように笑い、私を城下へ連れ出してた。




「うわ…すごい…!」

幸村さんのところの城下町も凄かったけれど、ここもまた賑やかだ。海が近いこともあってか海産物も豊富でまた違った賑やかさが展開されていた。皆笑顔というところは共通していたが。

「はは!だろ?にしても城下町は初めてか?」
「いえ、近くの真田様が治めていらっしゃる城下町に1度だけ行ったことがありますよ。」
「1度なんて数にはいんねぇよ!今日は俺が案内してやっから存分に楽しみな!」

邪気のない爽やかな笑顔で笑う元親さんにお兄ちゃんってこういう感じなんだろうな、なんて思った。

「ありがとうございます!」
「おう!どっか行きてぇとこないか?」
「えーと…、あ」

そう聞かれ辺りを見回してみると何だか変わったものを置いている雑貨屋さんのような店がめにはいった。

「あそこ寄って貰ってもいいですか?」
「あ?おぉ、中村の店か!もちろんいいぜ!」

許可が下りたので店に入る。すると海が近いことを生かした貝殻を使った簪やそれを型どったのであろう紅など、とても美しい商品が沢山並んでいた。

「変わった商品が沢山ありますね!」
「あぁ、ここで商品を作ってるから他のとは一風変わった商品が多いんだ。」
「へえー。凄いですね!どれも凄く綺麗だし!」
「はは、ありがとうねお嬢ちゃん。」
「へ?」
「おっ中村じゃねぇか!元気にしてたか?」

急に声をかけられ、振り向くと少し日に焼けたおじさんが立っていた。元親さんの知り合いらしい。

「えぇおかげさまで、平和にやらせてもらってますぜ。」
「そうか、そうか。そりゃー良かった!」

どうやら店主さんらしい。

「それにしても殿、こんなに可愛らしいお人いつの間に?」
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