06ー04  


「遥奈様!こちらがようございます!」
「はぁ、」
「違うわよ!遥奈さんは肌が白いんだからこっちの濃い方がお似合いになるわ!」
「や、あの、」
「いや、どっちも違うわ!これが1番似合うのよ!」
「「「遥奈様はどれが1番ようございますか?!」」」

さっきまで私の声を総スルーで言い争っていた女中さん達が一斉にこちらを向いた。

何だか私もどれか選らばなきゃいけない雰囲気だ。急いで並べられている着物に目を通した。

「…あ、」

すると、1つの着物に目が止まった。

「あの、あれじゃ駄目ですか?」

女中さんがまた一斉に私の指差す先を見た。そこにあったのは上品な薄紫色でところどころに蝶が舞う幻想的な柄の着物だった。

「「「…まぁ!まぁ!」」」
「え、だ、駄目ですか?」

一斉に上がる大声にびっくりして不安になる。

「いえいえ!そんなことはありませんわ!」
「そうよ!じゃあ帯は此方にしましょう!薄紫には濃い色が似合いますわ!」
「ささ、こちらに。白粉を塗りましょう。紅もささなきゃ!」

「は、はあ。」

何故だか興奮ぎみの3人の勢いに少し押されてしまう。あの着物には何かあるのだろうか。でも着物が決まれば私の意志は関係ないらしく、いつの間にか着ていたものが脱がされ着付けが完成されていた。さらには化粧もやたらと力の入った女中さんに念入りにされてしまった。

「さ、仕上がりましたわ!」
「まぁ!!お美しい!」
「本当に!そこら辺の姫様よりよっぽどお麗しいですわ!」

やたらとべた褒めされてしまい、何だかいたたまれなくなる。

「あ、あの、お世辞なんか言わないでも…。」
「そんなことありませんわ!」
「そうですよ!これで殿もいちころですわ!」
「い、いちころって…」
「ささ、殿がお待ちです。いってらっしゃいませ。」

にやにやとした女中さんたちに半ば強引に部屋から押し出されてしまった。まぁでも大分部屋に缶詰めにされてしまったために、おそらく元親さんを待たせてしまっているだろう。

私はようやく覚えた城の中を急ぎ足で元親さんが待ってくれているであろう城門へ向かった。

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