05-04  


確かに面白い、だがそれ以上に不思議なやつだ。でも、それを上回るぐらい


「確かにそうだが、馬鹿みてぇに優しいやつだ。」

頼まれたからと言って遠い他国のために自分の店を放り出すなんて。あれは俺に怯えての決断なんかじゃなかった。俺に怯えるぐらいならはなから断ったりなんてしねぇだろうしな。

「ははっ!紹介した俺が言うのもなんだけどあれは優しい通り越してよほどのお人好しだけどね。」

ただでさえお人好しの慶次が言うのだ。なかなかいないお人好しのようだ。でも……

「でも、なぁんかあの優しさに安心するっていうかさ、なんて言うんだろ、癒される?」
「あぁ、やっぱ不思議なやつだな。」

そうなんだ。あいつの真っ直ぐで純粋な目を見ると、なんだか安心した自分がいた。こんな気持ちは初めてだが、まぁあいつが1ヶ月四国に来てくれるんだ。あいつとこの気持ちについてゆっくり知っていくのもいいだろう。




3人への文を書き終わり、店の前に貼る臨時休業のお知らせも書き終わったので私は居間に戻った。

「じゃあこれ宜しくお願いします慶次さん。」

何だか和んでいる様子の2人に話し掛けた。

「元親さん、あと半日ほどあれば私準備できますけど、どうしましょうか。」
「あぁ、あと2日すれば近くの港に野郎共が船で迎えにくるんだ。だから、それまでにに準備してくれりゃあそれでいいぜ」
「わかりました。あ、それじゃあついでにうちに泊まっていきますか?部屋も空いてますし。今からじゃあ宿探すのも面倒でしょうし…。」

と、言ってから気付く。
(別に既に宿とってたら意味ないじゃないか…!あーそれなら断るだろうし、いらない気を使わせちゃうかな?)

「いいのか?」
「え?ええ、もちろん!」


不安に思っていると返事は意外にも了の意だった。まぁなにはともあれあと1日余裕があるならば、近くのお客さんたちに挨拶に回ることができるから良かった。

「えっ遥奈!俺は?!」
「慶次さんはそれ早く届けに行ってください。」

まるで空気だった慶次さんが俺を忘れるなとばかりに声を張り上げたのでとりあえずからかってみた。

「ひっでぇ!」
「キキキッ!」

慶次さんが大袈裟に傷ついたような仕種をする。するとまた夢吉が慶次さんの真似っこをした。何だか夢吉が少しかわいそうなので私はからかうのをやめることにした。

「あはは!冗談ですって!慶次さんも泊まって行ってください。」
「はぁ、本当に追い出されるかと思った…!」

旅に出ます
(まぁ半分本気でしたけど。)(えぇ?!)(はははっ!遥奈おめぇ最高っ!)(ちょっ元親ひでぇ!)(慶次さんうるさいとホントに今すぐ届けに行って貰いますよ。)(!…………(首ぶんぶん))(あっはははははは!!)


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