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「ん、んー………?……あり?ここどこ?」
目が覚めると知らない布団にいた。っていうか私ベッドで寝たはずなんだけどな。
体が自由に動くし、人の気配もないってことは誘拐とかでもないよなー。何だか寝起きの頭は変に冷静だ。
とりあえず布団からでてみると、近く机の上に白い紙が乗っているのが目に入った。
「遥奈ちゃんへ☆」
((いらっ)うわー読みたくない…)
まぁとりあえず状況把握の為だ、と無理やり自分に言い聞かせ紙を開く。
【はろーはろー!これ読んでくれてありがとうね!突然だけど君はタイムスリップしました☆いえーい!】
「はぁ?」
手紙を破りたくなった。
【ごめんね?いろいろあったんだ。でもまぁ頑張って!あ、ちなみに君は薬師の娘だから。そこそこ有名で、顧客もいるんだよー。お詫びとして薬とお客の知識はぜーんぶ完璧にいれといたから!まぁ、医者だったんだからきっと大丈夫でしょ?あ、ついでに親は亡くなってるからね。君が跡継いでるから。ついでに今君15歳だから!唐突にごめんねー。ま、とりま頑張って☆ ばーい神様】
「…………。」
寝起きの回らない頭を一生懸命回す。しばらくして、漸く手紙の中身が理解できた私は裸足なのも気にせず外に飛び出た。
目に入った光景は、鬱蒼と茂った林に土でできた道、木造の家に井戸、馬小屋には馬が繋がれている。そう、まるで遠い昔の日本のような、そんな、光景。
「うそ…でしょ?」
(もう、誰とも…会えない、の?私は、ひとりぼっち…?)
目からは自然と涙が溢れてきて。初めて、「絶望」の本当の意味を知った気がした。
世界から色が消えた日
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