05-01
幸村さんのお城にお邪魔して以来、私はいつも通りの生活をしていた。
「お邪魔するよ!」
「いらっしゃいませ!
あ、慶次さん、お久しぶりです。それに夢吉も!またまつさんから逃げていらしたんですか?」
「ちょっそりゃないぜ遥奈〜!せっかく客連れて来たってーのに!」
「キキッ!」
私のそんなからかうような台詞に大袈裟に傷ついたような仕草をする慶次さん。真似っこをしている夢吉が可愛すぎる。
「冗談ですよ、冗談!
それでお客様はどこに?」
「ったく、相変わらず現金な奴だなぁ。
まぁいいや。表にいんだ。
今呼んで来るからちょっと待ってて!」
慶次さんと言うのは私がこちらにきて半年ぐらいした時、雨の日に出会った人だ。何でも旅をしているらしい彼が突然の雨に降られ困っていたところを助けたのだ。それ以来何故か懐かれしばしば遊びに来るのだ。(何度か彼の叔母だと言うまつさんに引っ張られて帰ったが。)
「遥奈!紹介するよ!こいつぁ元親、四国の武将で、いい薬師を探しているらしいんだ!」
「はじめまして、島崎屋の店主、遥奈と申します。」
慶次さんに連れられて入って来たのは銀髪のがたいのいい青年だった。
「おう、よろしくな遥奈!」
きらきらとした人懐っこい笑顔を浮かべる何だかお兄ちゃんみたいな人だなぁ、何て考えながら慶次さんと元親さんが話をしているのを聞いていると急に話が私に振られた。
「それにしても、あの島崎屋の店主がこんなに若いたぁ、驚いたぜ!腕利きの薬師だっつーから親父ぐらいの年のやつがやってんのかと思ってたぜ。」
「あの?」
豪快に笑う元親さんだが、彼の言葉に少し引っ掛かりを覚えた私はつい疑問を口に出していたらしい。慶次さんが説明をしてくれた。
「知らないのかい?半年ぐらい前から急に人気なんだぜ、ここ!何でも凄腕の薬師がいるって!でも中にはここにたどり着けない奴らもいて一部では伝説化してんだぜ!」
どうりで最近やたらと黒字だと思った。でもたどり着けない人がいるって?また変な補正だろうか?でもそこまで有名になるなんて、
「うわ、面倒くさい…」
ぽつりと呟いた言葉が聞こえたのか、元親さんが笑いだした。
「あっはっはっ!こりゃあおもしれぇ!自分の店が人気出て面倒くさいってか!遥奈!お前気に入ったぜ!」
「ありがとうございます…?」
頭をがすがすと叩かれる。ちょっ背が縮む…!
「とっところで、薬師を探してるって言ってましたよね?」
なんとか頭がすがすを逃れるために話題を変える。すると元親さんが急に真面目な顔になった。
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