04-03  


(うーん…何作ろうか?)

取り敢えず、無事ご機嫌はとれたが思いつきで切り出した話だけに何を作るかも決まっていない。

「何か手伝うことある?」
「そうですねー。あ、牛っています?」
「いるよ。でもなんで?」
「後でわかりますから、ちょっと牛乳絞ってきてください。」

佐助さんに仕事を頼み、台所の材料を確認する。さすがにバターやサラダ油などはないが、小麦粉っぽいものや砂糖、卵などある程度揃っている。
(確か砂糖ってこの時代貴重じゃなかったっけ…?)
どうやらお城の大きさは伊達じゃないようだ。材料を量り、ボウルの代用として木の器に入れた。

「絞ってきたよ。」
「あ、お帰りなさい。じゃあいきなりで悪いですけど、降ってください。塊が出てくるまで。」
「は?」
「だから降ってください。ほら、取り敢えずやって見てくださいよ。」

きょとんとしている佐助さんに行動を促す。自分でやると疲れるのでやりたくないだけだけど。暫く眺めていると、早くもできはじめた。
(さすが忍だ!)


「そろそろいい?もう疲れたんだけど。」
「はい。ありがとうございます!」

そう、出来上がったのは簡易バターだ。それを先ほど量った粉類と混ぜる。

「いい加減何を作ってるのか教えてよ!」
「クッキーというものですよ。あ、抹茶あります?」
「くっきー?へー。あるよ。はい。」
「ありがとうございます。」

出来上がった生地をまな板の上に広げ、麺棒で伸ばしていく。均一に広がったところで、型がないので包丁で適当に切り分けた。

「さ、後は焼くだけです!もう20分、えぇと半刻の半分もしないうちに完成です!」
「何だか不思議そうな食べ物だよね。」
「美味しいんですよ?
あ、もうお手伝い大丈夫ですよ。ありがとうございました。」
「いえいえ。もとはといえば悪いのは旦那だしね。じゃあ俺様ちゃんと席外すから、できたらまた呼んでね。」

そういった瞬間佐助さんがいなくなる。忍者って本当に不思議な生き物だ。




遥奈ちゃんの手伝いが終わり、忍務の整理をしようかなと考えながら城内を歩いていると、縁側に旦那が座っていた。

「どうしたの、ぼけっとして?」
「!さささささ佐助?!」
「俺様そんなに名前長くないけどね。で、どーしたの?もしかして遥奈ちゃんに惚れちゃったの?」
「なっ!ちちち違うでござるっ!…ただ、その、笑顔がか、可憐で、か、かわっかわいらしかったと………」
「うわー!おめでとう旦那!初恋だね!俺様相手が遥奈ちゃんなら応援するよ。いい子だしね。」
「だっだだだだから、ちっ違うとっ!」
「あーはいはい。分かった分かった。まだ!好きじゃないんだね。」
「そ、そうでござるっ」

旦那はいっぱいいっぱいなのか、俺様が「まだ」を強調したのに気づけていないらしい。
(それにしてもあの旦那が恋、ねぇ。しかも相手が遥奈ちゃんかぁ。俺様としては、どっかの我が儘な姫様なんかに惚れるよりよっぽど嬉しいんだけど、なぁ…って嬉しいことじゃん!何考えんの俺様!)

旦那が遥奈ちゃんに惚れている、いや惚れかけていると知ったとき、痛んだ心は気のせいにした。
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