04-02
少しして漸く私の混乱がおさまった。
取り敢えず外にいるのも、ということになり佐助さんによって城内に招かれた。
「でも何で私を連れてきたんですか?」
そうなのだ。私を招く理由が思い当たらない。
(佐助さんは優秀な忍だから薬に困る訳はないだろうし…。)
「あー、うん。前遥奈ちゃん、手作りの甘味を土産に持たせてくれたでしょ?それを食べた甘味好きの旦那、俺様の主が遥奈ちゃんに会いたいって言うもんだからさー」
確か佐助さんの主さんは話を聞く限り相当な甘味好きだったはずだ。私が招かれた意味が理解できた。
「で、今から旦那に会ってほしいんだけど…」
急に佐助さんの歯切れが悪くなる。
「どうしたんですか?」
「いやその、ね?ちょっとっていうかかなり煩いかもだけど大丈夫?」
「ここまで連れてきて今さらですー」
「それもそだね。じゃもうちょっとだけ着いてきて。」
そういうと広い城のなかをすいすいと歩いていく。私は遅れないよう着いて行くのに必死だ。
「旦那ー、この前の甘味作った子連れて来たよ。」
佐助さんがそう言うや否や凄い勢いで赤が飛び出してきた。
「まことで御座るか!?」
素肌の上に直接赤いライダースーツを来て赤いハチマキを頭に巻いたなんというか赤い人がこちらを見た。
「あーえっと、こんにちは…?」
取り敢えず挨拶をした方が良いのかと挨拶をすると、赤い人はピシリと固まった。
「ちょっ旦那!言いたいことがあったんじゃないの?」
「そそそうでござった…っ!
某、真田幸村と申す!そなたの名を聞いてもよいでござろうか?」
「あ、はい。遥奈と申します。」
急に黙り込んだり元気になったりと忙しい人だなぁと考えていると、突然肩をがっとつかまれた。
「わっ!?」
「あのしふぉんけぇきという南蛮の甘味まことに美味でござった!!口に入れた瞬間色がるあの芳しい香りにあの団子とはまた違う柔らかいふわふわした食感!今まで食べたことのない甘味であった!!それで某はそんな甘味を作ったという遥奈殿に会いたかったのだっ!!」
「は、はぁ(顔が近い…)ありがとうございます、」
「旦那、ちょっと興奮しすぎだから。落ち着いてよ。」
みかねた佐助さんが静止の声をかけるとやっと今の状況を自覚したのかまた固まった。
「……っは、はははは破廉恥でござっもがが!!」
「はいはい。こんな状況自分でつくっといて叫ばないでよ。」
なんだか展開がよく分からなくなってきた。これは話についていけていない私が悪いのだろうか。
「はっ!まっまことに失礼いたした。遥奈殿!感動を伝えんとしたばかりに無礼なことを…!」
「いえ、大丈夫ですよ。」
取り敢えずよくわからないときは笑顔で答えるのが一番だ、と取り敢えず笑顔で返事をしておいた。
「っ///かたじけないでござる…。」
何だか今度は少し落ち込んだようだ。
(対応間違えたかなー?どうしよう?!なんかやばいかな?!城主っぽいし……あ、そうだ!)
必死に何か元気を取り戻す方法を考えていると、ある案が浮かんだ。
「あの、もしよろしければ何かスイーツ、南蛮の甘味を作りましょうか?なんだかシフォンケーキも凄く気に入って頂けたようですし…」
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