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むかしむかし、あるところにとある嘘つきがおりました。
嘘つきは毎日毎日嘘をつきます。周りの人にも自分にも沢山嘘をつきました。けれど彼女は愛される嘘つきでした。
彼女の嘘は人を救います。
泣いている子は笑顔になり、絶望している人を救います。けれど彼女の吐く言葉はみーんな嘘。
彼女の心は日に日に空っぽになっていきます。
どれだけ人を救えようと、彼女は自分自身を救うことはできません。
それでも彼女は嘘つき。自分に嘘をついて、今日も笑顔で明るく皆接して、嘘を吐きます。
そんな彼女の支えは1人の親友。けれどそんな親友は彼女の吐いた嘘が原因で死んでしまいました。
実を言うと彼女の嘘は全然関係ないのですが、彼女は自分のせいだと思い込み自分の嘘を、言葉を封じました。
昨日、彼女は事故に会いました。
地面に真っ赤な華を咲かせながら彼女が吐いた最期の言葉は―……
「ごめんね、 ー………」
嘘偽りのない真実でした。
このお話はそんな嘘つきのお話です。
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