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「返却日は1週間後です」

ピッと本のバーコードを読みとり、返却日の判子を押した紙を相手に手渡す。

「次は本の整理だっけ?」

いつの間にか決まっていた委員会の仕事をこなす。別に本は好きだし図書館は快適だから全く苦ではない。



「と、届かない…!」

いかんせん身長の低い私では本棚の上の段は手がとどかない。かといって踏み台を使うのも何だか負けた気がして少し嫌だ。

「あ、あとちょっと……っ」

もう少しで手が触れるというところで後ろから伸びてきた手がその本を取った。

「この本が取りたかったのか?」
「へ?あ、はい。えと、ありがとうございます?」
「いや、構わない。」
「あの、お名前を聞いても?」
「柳連二だ。お前は確か苗字名前だな。好きなものはアイスクリーム。勉強は非常に得意でこの間の中間テストでは1番をマーク。ついでに入学試験では満点をたたき出すという立海大初の快挙を遂げる。家族構成は父と母の3人。……合っているか?」「は、はぁ…」

柳と名乗った目の前の人はノートを開くと、私の個人情報をペラペラと読み上げはじめた。正直、いい気持ちはしない。

「何故、あそこに踏み台があるのに使わなかったんだ?」

しかも聞かれたくないことを聞いてくるなんて第一印象は最悪、だ。

「…面倒くさかったんです。」
「お前にもそんな一面があるとはな…いいデータだ。」

……無理だ、気持ち悪い。

「まぁ、私も人間ですので…。それじゃあ失礼します。本ありがとうございました。」

幸いさっきの本が最後だったので、もう一度お礼を述べてから足早に立ち去った。


嘘つき、苦手に出会う
(き、気持ち悪かった……!)(ふむ、興味深いデータだ。)
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