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幸村 視点


いよいよ立海大付属の入学式だ。小学校からの知り合いが何人もいるとはいえ、やはりどこか緊張してしまう。

長い校長先生の話が終わり、次は新入生代表の挨拶だ。きっと分厚い眼鏡でもかけた真面目そうな奴なんだろうと、勝手に決めつけつまらないなぁと思っていた。そんなとき進行の先生が呼んだ名前は女の子のものだった。その直後、体育館内に響いたのは澄んだ鈴のような声。きっと俺だけじゃなくて、皆が意識的にでも無意識的にでもに彼女を見たはずだ。

彼女が俺の横を通る。彼女が壇上迄の階段を登る度にさらさらとしたセミロングの黒髪が揺れる。

「校庭の木々にも青葉が繁りー…」

彼女の挨拶が始まり、俺は彼女の声に集中する。

「……ー新入生代表 苗字 名前」

(苗字、名前さん)
名前を噛み締めるように頭の中で呟いていると彼女がふっと目線を上げた。

時間が、止まった気がした。気のせいかもしれないが、彼女と目が合った気がした。どこか悲しみを称えたようなその目元が俺の頭から離れない。

その後奇跡的にも同じクラスだった彼女に思いきって声をかけた。何人もから恨めしげな視線が向けられたが気にせず彼女と、名前と話し友達になることに成功した。


(その悲しげな笑顔を)(いつか幸せで満たしてあげたい)

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title by 彼女の為に泣いた
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