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「テニス部っす!俺そこに入ってさいきょーになるのが夢なんすよ!」
キラキラとした笑顔が向けられたかと思うと、それが少し曇る。本当に表情が豊かな子だ。
(あぁ、絆されちゃう)
「ふふ、頑張って。君がそれに努力を惜しまなければきっと叶うよ。」
「っ!」
ぎゅうっ
突然切原が泣きそうになったかと思うと抱きついてきた。
「大丈夫?どうしたの?」
「………今まで、…今までそんなの無理だって馬鹿にされるだけだった…っ。はじめてなんだっそんなふうに言ってくれたの、あんたがはじめてなんだっ」
私はとりあえず頭を撫でてやった。意外とふわふわしてて気持ちがいい。
暫くそうしていると落ち着いたのか切原が顔を上げた。
「さ、案内してあげるよ」
「っはい!」
学校の敷地をテニスコートに向かって歩いて行く途中で切原が声をあげた。
「あの、名前さん!俺、絶対ここ入ってテニス部に入部してトップになります!だから、…だから俺のこと見ててくださいっ!」
(あぁもう、昔から私はこういうのに弱い。こういうのには嘘がつけなくなる……)
「、うん。見てる、見てるよ。応援してる。頑張ってね」
「っへへ!頑張ります!」
記憶のなかの星空は
(真っ黒だったはずなのに)(何処かで星が輝いた気がした)
おまけ
「ところで赤也君って賢いの?結構ここの入試って難しいらしいけど」
「う゛っ!ま、まじっすか…」
「……ふふ、少しなら今度勉強見てあげるよ」
「ほ、ほんとっすか!?(ぱぁあ)」
「うん、ほんと。」
「っしゃあああ!」
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