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「それにしても、なんで私が…」
せっかくの休日に私はは何故か学校にいる。というのも、先生が私に英語のスピーチ大会に出て欲しいと頼んだせいである。
今書きおえた原稿を先生に見せ微調整を施して貰い、少し練習した帰りである。
「…?」
校門から出ようとしたとき、門の横にもじゃもじゃが居るのが目に入った。小学生の高学年か中学生ぐらいだろうか。なんだかおろおろして挙動不審であるが不安げな姿がどこか昔の、こちらに来たばかりのときの私に重なりつい声を掛けてしまった。
「ねぇ、なにかあったの?」
私が声をかけるとそのワカ…海藻頭君は肩をおおげさに振るわせた。
「へっあ!いや、その!」
異常に驚かれてしまった。
(そう言えば、今日って学校見学のためのオープンスクールなんだっけ?)
頭の隅に追いやられていた記憶を呼び起こした。
「どこに見学に行きたいの?」
「え?」
「オープンスクールに来たんだよね?不安なら私が案内してあげるよ。」
言ってから気づいた。馬鹿か私は。自分から態々面倒ごとに首をつっこむなんて……。目の前のもじゃもじゃを見ると少しうつむいて震えていた。
「あー嫌なら別にい「ありがとうございますっ!俺、なんかすっげー緊張してて、おまけに迷子になりそうで、入れなかったんす!」…あ、そう」
(うわぁ、確実に失敗した。)
「俺切原赤也っていいます!おねーさんは?」
私はひきつっている口もとを無理やり動かした。
「苗字名前だよ。切原君は「赤也でいいっす!名前さん!」……赤也君は何処に行きたいの?」
しまった、なつかれた、面倒くさい。この子は確実に犬属性だ。しかも忠犬タイプの邪険にできないやつ。
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