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柳 視点

俺は正直苗字名前という存在が嫌いだった。新入生代表の挨拶をしたときはまるで意思のないプログラミングされた人形のようであったし、中間テストでは満点だなんて本当にロボットのようであった。

周りはそんなところがミステリアスで魅力的だ、とか完璧だなんて彼女なんだから当たり前だ、などと褒めちぎっていたが俺はどうにも理解できずにいた。

そんな時だった。偶然行った図書館で彼女に出会ったのは。
彼女は近くにある踏み台を使おうともせず、上の段にある本を必死に取ろうとしていた。そんな姿に俺はついその本を取って彼女に渡す。

そして、少し会話をした。俺がいつものように、自分のデータを相手に確認しようと読み上げたときだった。彼女の顔が少しひきつったのだ。

(驚いた。こんな人間らしい感情もちゃんとあったのか。)

我ながら失礼なことを考えたと思ったが、本当に驚いたのだからしょうがない。
そのあと何故踏み台を使わなかったのか聞くと意外な答えがかえってきた。

「面倒くさかったんです。」これは本当に意外だった。何でも完璧に見えた彼女が面倒くさがりだなんて、やっぱり彼女も人間だったのだ。
俺は彼女の去っていく後ろ姿を見つめながらはたと気づいた。

(そうか、俺はきっと)

彼女が、まるで自分たちとは違うきがして、触れてはいけないもののようなきがして、無意識に嫌がっていたのかー……
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