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入学から1週間がたち何故かクラスの皆に頻繁に話し掛けられたため、一応交友関係は良好だ。また、授業がはじまったが前世で高校卒業手前だった私からしたら退屈でしょうがない。
「先生、少し体調が優れないので保健室に行ってきてもいいですか?」
少し、眉を寄せて手を挙げた。
「大丈夫か?誰か付き添わそうか?」
「いえ、大丈夫です。すみません…」
皆の心配そうな視線を受けながら教室を出た。教室から保健室にはいかず屋上に出る。
少し景色を見渡してからふっと息をはき、胸一杯に空気を吸い込んだ。
「Amazing grace how sweet the sound. That saved a wrech like me〜♪」
歌うのは讃美歌。あの子への懺悔のようなものだ。歌の意味は全く違うのに。
つまりは私の、ただの自己満足。やっぱりどうしたって私は嘘つきなのだ。もうすぐ曲はクライマックスを迎える。
「〜♪But God,who called me here below. Will be forever mine…」
(Song by amaging grace)
歌い終わって一息つくと背後からパチパチパチ、と拍手が聞こえたので後ろを振り向くと、そこにいたのはキラキラとした銀だった。
「雪みたい……」
つい思った事が口をついて出てしまった。改めて考えると、歌を聞かれてしまったのだ。少し恥ずかしい。
「あの、聞いてました、よね?」
「あ、あぁ。すまんのぅ、言い出すタイミング逃してしもうて……
でも、綺麗じゃった!聞き惚れてしまうぐらいほんまに綺麗じゃった!!」
(何で必死なんだろう?)
「ありがとうございます」
先輩か同い年か分からないので一応敬語を使う。
「俺は仁王雅治。俺も一年じゃけん、タメ口でよかよ。」
「あ、うん。えと、苗字 名前です。」
「名前って呼んでもええ?」
「うん、好きなように呼んで?」
何かデジャヴュを感じるのは私の気のせいなのだろうか。
「じゃあ俺のことはまーくん呼んでくれるとうれしいのう」
何だか変な人だ。
「まーくん?」
「っ!」
呼んでみると悶えてしまった。
(呼んじゃいけなかったのか?いやでも呼んでって言われたし…)
「ごほん。あーと…名前は讃美歌好きなんか?」
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