「ん……い、たぁ!」
目が覚めて身体を起こせば頭に響く地味な痛み。あぁ、私昨日飲んでて……あれ、誰が私運んでくれたんだろう。確かヤムライハと飲んでて、それで、夢、を…
「〜〜!?」
わ、私なんて夢をみてたの!?し、しかも自分から、あんな…!
「うぁああ〜…!」
ぼふん、と枕に顔を埋めた。絶対今日恥ずかしくてジャーファルさんの顔見れないよ…!
「も〜、恥ずかし…」
「何がですか?」
「だってあんな夢、を……」
あれ、私誰に答えて……
「!?ジャッジャーファルさん?!」
「はい。それで、どんな夢だったんですか?」
ジャーファルさんのその言葉に引きかけていた顔の熱がぶり返す。ジャーファルさんにキスされた夢なんて言えるわけない…!
「ぅ、え、や、あの…、」
「……。」
「そ、その…!」
するりと頬に指が滑った。か、顔が、ち、かい…!
「こんなに顔を赤くして一体どんな夢を…?」
「!!おおお覚えてないです!」
咄嗟にジャーファルさんの胸を押し返し、彼から離れる。
「というか、ち、近いですから!」
いまだに熱を持ち続ける頬。
「すいません、誘っているように見えたので、つい。」
「なっ!?さ、さそっ!?」
何てことを…!あぁ、もう容量オーバーだ。わけがわからない。実はこのジャーファルさんはジャーファルさんじゃなくてシンでも入ってるんじゃ?そこまで考えた所で私の頭はショートした。
「、リノ…?気絶してしまいましたか。」
顔を真っ赤にしたまま倒れてしまったリノ。まさか昨日のことを夢だと思われているとは…。漸く私も報われると思ったのですが。
「それにしてもいい加減、気づいてくれてもいいんじゃないですかね。」
昨日だって遊びだと思っていたようだったし、いくらなんでも鈍いにも程がある。まぁそれも魅力の1つと言えなくもないが、あんな風に涙目で見つめられてはこちらにも我慢の限界というものがあるわけで。
「……はぁ。」
私はため息を1つこぼしてから、いつの間にやらすやすやと眠っているリノの額にキスを落として、彼女の部屋をあとにした。