セクハラですよ、ジャーファルさん | ナノ



「うわ、びちょびちょ!」

暑いからという理由で水浴びをしていたシャルルカンに巻き込まれた私。はじめは、手や足を少し濡らす程度だったのだが、タイミングの悪いことにヤムライハがやって来たのだ。後はご想像の通り、喧嘩を始めた二人に巻き込まれあっという間に濡れ鼠だ。

「なんであの二人はあんなに仲が悪いかなぁ…」

未だに喧嘩を続ける二人を止めることは不可能だと悟った私は、とりあえず風邪をひいてはいけないので二人を放置して部屋に着替えを取りに向かっていた。

「うぅ、気持ち悪いぃ」

水のせいで服が体にべったりとくっつき不快感をうみだしている。

「リノ?どうしたんですか?」
「あ、ジャーファルさん。」

途中でジャーファルさんに話し掛けられた。この間少し変だったのはきっと疲れていたのだろうと自己完結させておいた。

「シャルルカンとヤムライハの喧嘩に巻き込まれちゃってこんなことに…。風邪をひくまえに着替えようと思って。」
「そうだったんですか。全くあの二人には困ったものですね。」

そうやって呆れるジャーファルはいつものジャーファルさんで。やっぱりこの間は疲れていたんだ。今度シンに会ったら、もう少し真面目に仕事するように注意しておこう。

「ですよね。もう少しくらい仲良くしてもいいのに。」
「二人とも素直じゃありませんからねぇ…」
「ふふ、ですね。」
「それにしても、リノ、」

あ、あれ?何かジャーファルさん、近くない?

「ジャ、ジャーファルさん…?」
「水のせいで服が肌に貼り付いてる…」
「ひゃ!?」

服の貼り付いている腰を撫でられる。驚いて後ろに下がろうとするも、腰を抱き込まれ動けない。ち、近い近い…!

「や、ジャーファルさん…!」
「なんだか興奮しますね、もちろんそういう意味で。」
「っ!?」

耳元で低くそう呟かれ、首筋をジャーファルさんの唇が這う。水で冷えきっていた身体に急に生暖かいものが這い、身体がビクリと跳ねた。

「可愛い、」
「ぁ…っ!」

もう恥ずかしさやらなんやらで顔から火が出そうだ。と、その瞬間

「あれ、ジャーファル?どうしたんだ?ってリノ、お前びしょ濡れじゃないか!」

シンの声が聞こえ、ジャーファルさんの腕が緩んだ。その隙に身体を離して私はその場から逃げ出した。






「どうしたんだ、あいつ。」
「……シャルルカンとヤムライハの喧嘩に巻き込まれたそうですよ。」
「あぁ。だからか。あいつらは相変わらず元気だなぁ!」
「あの二人は水と油ですからね。………ところでシン、」
「げ、」
「今日の仕事はもうお済みで?」
「あ、あはは…ぎゃぁあああっ!おまっ今日いつもより威力強くないか!?」
「……気のせいですよ。」






×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -