「あれ、リノ私服珍しいね!お出掛け?」
「ほんとだ、なんだデートか?」
久しぶりの休日、たまには女の子らしい格好をしなければせっかく買った可愛い服たちがタンスの肥やしになってしまうということで、いつも着ている文官服を着替えた。だからなのか、たまたま出会ったピスティとシャルルカンがそう声を掛けてきた。
「んーん。たまには着てあげなきゃ服が勿体ないなぁって思ってね。」
「そっか。」
「お前もつまんねぇなぁ。」
「別に今は彼氏とかはいいだよ!」
「とかいいながらリノをヤラシイ目で見ないでよシャルルカン!」
「なっ!?み、見てねぇよ!」
ピスティに見事からかわれているシャルルカンについ笑う。
「まぁリノのミニスカートも珍しいしねー!スタイル凄くいいし!」
「ふふ、褒めてもなにもでないよ、ピスティ。」
「ほんとなんだから!ね、シャルルカン!」
「うえ!?あ、や、お、おう。」
何でシャルルカンはそんなにどもってるの。それでもシャルルカンが肯定したせいで、ピスティがテンションをさらにあげる。
「ね、文官服もミニスカートにしてもらいなよ!絶対可愛いから!」
「えぇ?やだよ、恥ずかしい!」
このミニスカートはくのにも結構勇気がいったんだから、普段からミニスカートだなんてとんでもない。
「お、俺はピスティに賛成!」
「はぁ!?ちょっとシャルルカン!悪のりしないでよ!ピスティにこんな冗談通じないの知ってるでしょ!」
「あ、ジャーファルさんだ!聞いてみよ!」
「ちょっピスティ!」
何でジャーファルさんはタイミングよく通るの。というかピスティもそんなこと聞かないで!どうせ呆れたように溜め息吐かれて終わるから!
「ね、ジャーファルさん!リノの文官服さ、ミニスカートにならない?ほら、こんなに似合うんだよ?」
「ジャーファルさん!気にしないで下さい、冗談なんで!」
慌てピスティの口を塞ぎ、そう口早に告げる。でも何故かジャーファルさんは黙り込んでしまった。
「あの、ジャーファルさん?」
「…そうですね、考えておきましょう。」
「…え?」
「ほんと!?やったー!」
「いやいやいやいや、ジャーファルさん!え、熱ある!?」
思いもよらない彼の返答に思わず額の熱を確認する。あれ、へ、平熱だ…!
「別にいたって正常ですよ。」
「いや、だって…!」
いつものジャーファルさんじゃないよ、そう続けようとしたところでジャーファルさんに腕をぐいっと引かれた。
「私も男なので、ミニスカートは好きですから、脚が見えますし。」
あ、勿論貴女限定で。
そしてそう耳元で囁かれた。
「っ!??」
私がびっくりして顔を赤く染めていると、ジャーファルさんは「では仕事があるので」と爽やかに笑って去っていった。
後に残ったのは顔を真っ赤にした私と、「何を言われたの/言われたんだ!?」と詰め寄ってくるピスティとシャルルカンだった。
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