星に願う

知るための選択


「ヤムライハ!」
「あら、貴女よね!名前は?王も目覚めたならすぐ私に教えてくださるよう約束したじゃないですか!独り占めなんて酷いわ!」

怒りながら中へ入ってきたのは露出の多い服を着た綺麗な女の人だった。ジャーファルさんの咎めるような声が上がるも、いきなり両手を掴まれた。

「貴女魔導士なのよね!あの魔法は何?どうすれば一度にあんな大きくて鋭利な風の刃をいくつも操れるの?どういう命令式を組み合わせているの?しかも女の子は浮かせていたわよね?」

がっと顔が近付けられて質問が捲し立てられる。あまりの迫力に何もいうことができない。しかも魔法とはどういうことなのか分からない。私はただいつも周りにいてくれるあの白い子たちにお願いをしただけなのだから。

「あの、私魔法とかあまり分からなくて……」
「あれほどの力があって魔法を知らない!?なんて貴女勿体ないのかしら!」

私の言葉にヤムライハさんに更に熱が篭る。とても美人な分普通よりも迫力があるように感じる。


「ヤムライハ、いきなり失礼だぞ。彼女は“ソロモンの姫”なのだから。」
「!」

しかし、シンの一言に彼女の顔色が変わる。身なりを正して、私から少し離れ恭しく礼をした。次から次へと変わる態度に頭がついていかない。

「姫とは知らず、失礼いたしました。数々の無礼お許しください。」
「は?」
「俺からも謝ろう。ヤムライハも悪気はなかったのだ。ただ魔法のことになると少し周りが見えなくてな…許しやってはくれないか。」
「ゆ、許すなんてそんな!謝られるほどのことなんてしていませんし、頭を上げて下さい!」

いきなり二人に頭を下げられわたわたしてしまう。デジャヴだ。

「ありがとう、ユナ」
「ありがとうございます、姫。」

二人が頭を上げてくれたので、私はほっとして息をついた。そこでふと先ほどのヤムライハさんの言葉に引っ掛かりを覚える。

「あの、その、私“姫”と呼ばれるの好きではなくて…。普通にユナと呼んでくだいませんか?」

“姫”と呼ばれる私は私ではない気がしてあまり好きではない。私は1人のユナという人間として見てもらいたいのだ。

「勿論大丈夫ですよ!」
「あ、敬語も…。私の方が年下ですし。普通に接していただけませんか…?」
「!分かったわ、ユナ」

ふわりと微笑んだヤムライハさんはとても美しかった。そこで口を閉ざしていたシンが言葉を発する。

「そうだ、ユナ。ヤムライハに魔法を習ってみてはどうだ?“ソロモンの姫”はマギと同じような力を持つともいうし、何か分かるかもしれないぞ。」
「!」
「いい考えだわ!さっきの見たけど、貴女にはきっと才能があるわ!是非魔法を覚えてみない?」

魔法を知れば私を知ることが出来るだろうか。……ううん、あてもない今は私に出来ることは全てやるべきなんだ。私はぐっと拳を握った。

「私の方こそ、よろしくお願いします!」

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