星に願う

今までとこれから


「どうやら、貴方は大丈夫みたいですね。」

光が収まり、そう言葉にしながら2人を見れば2人ともぽかんとした顔をしていた。

「、一体、何が?」
「……まさか、君は、」

シンドバッドさんが信じられないとでも言うように言葉を紡いだ。どうやら何かに気づいたらしい。

「“ソロモンの姫”、なのか…?」
「な?!」
「“ソロモンの姫”というのは詳しくは分かりませんが、確かに私はそう呼ばれていました。」
「…てっきりただのお伽噺だと思っていたが、」
「シン、まさか、彼女はあの…?」

ジャーファルさんは信じられないと言うような表情のままだ。シンドバッドさんも半ば現実とは思っていないようではあるが。けれど、私は“私”を知るために、しなければいけないことがある。

「あの、それに触らせて貰えませんか?」
「あ、あぁ。」

私がシンドバッドさんの腕輪を指差せば、半ば呆けていた彼は躊躇いがちながらも腕を差し出してくれた。それに触れればまた光が溢れた。



『また、貴女にお会いできるとは…。』

光が収まると、目の前で大きな精霊が私に膝をついていた。私の頭の中に様々な映像が流れ込む。その中には目の前の精霊もいる。

「貴方は…フォカロル?」
『いかにも。私は支配と服従の精霊、フォカロル。お会いしたくございました、姫。』

彼の口から出る“姫”の言葉に、私は疑問を口に出す。再び驚いている二人はとりあえず後回しだ。

「聞きたい事があるの。“ソロモンの姫”とは何?私は何をすればいいの?」
『おぉ…!私たちジンは貴女に忠誠を誓う者。貴女を指図するようなことを申し上げることはできません。』
「(忠誠を誓う…?“姫”とは「マギ」に寄り添い、マギとマギが選びし王たるべきものに力を与う者のはず。まさかそれ以上の意味が…?)」
「っどうして?私、自分が何なのか知りたいの。
アークは“選定者の鍵”であり“王と「マギ」に与う者”。そう言っていたけど、どういうこと?」
『!…姫、それだけ分かっていれば十分です。あとはルフ達が貴女を導くことでしょう。』
「(…やはり姫には更に“何か”がある…。)」
『貴女は貴女の思うように行動すればいいのです。「運命」はそれを全て受け入れるのですから。』

フォカロルはそう言うと私に恭しくお辞儀をして何か考え込んでいるようなシンドバッドさんの腕輪へと消えた。
結局私はまた私が何であるのか分からなかった。けれどきっと彼の反応から見るに他のジンも同じことを言うのだろう。

あてにしていただけに、少しショックが大きい。結局私は私が何なのか知ることはできないのかな。

「ユナ」
「、シンドバッドさん。触らせてくださってありがとうございました。」
「いや、それくらいなんてことないさ。それより、君はこれからどうするんだ?」
「、今まではジンに会って少しずつ私を知っていこうと思っていたのですが、」

きっと意味がないだろう。それだけが頼りだった為、私は半ば途方にくれていた。と、そこで私は思ってもみない申し出を受けることになる。

「もし他にあてがないなら、ここで暮らさないか?」
「は?」

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