星に願う

柔らかな歌


夜何故か眠ることができなくて、私は風に当たりに外へと出た。星空がとても綺麗だ。あそこにいたときはこんな風に風景を楽しむなんてことは出来なかったから凄く新鮮な感じがする。
周りのルフたちに少しお願いをして、水の飛沫を空に上げて貰う。星の光に水が反射してとても美しい。

「幻想的だな。」
「!シン。」

後ろから知っている声が聞こえたので振り返ればやはりシンがいた。

「こんな夜更けにどうしたんですか?明日に響きますよ。」

そう言えば、それはユナもだろう。と笑われてしまった。

「少し、眠れなくて散歩してたんです。シンは?」
「俺も似たようなものさ。それにしてもユナは洒落た魔法を使うな。」
「ふふ、綺麗でしょう?」
「あぁ。」
「さっき見てて、この国みたいだなぁって思ったんです。」
「これが?」
「はい。輝く飛沫の1つ1つが国民の笑顔で、きらきら光る星は八人将や兵士の人たち。で、あの全てを優しく照らす月がシンみたいだなぁって。」
「、俺は口説かれるより口説く方が得意なんだがな。」
「もう!茶化さないでくださいよ!」

なんだか思い直してみると私今、すごく恥ずかしいこと言った!?夜だから顔が赤くなっても悟られないだろうけれど、今さらなんだか照れてきた。

「き、聞かなかったことにしてください!」
「どうして?凄く嬉しかったぞ。」
「…茶化したくせに?」
「なぁに、少し気恥ずかしかっただけさ。」
「う〜…。シンに話すんじゃなかった。」
「なんだ、酷いな。」

暗くて表情はよくわからないけどなんだかシン少し元気ない?

「あんなに情熱的な口説き文句久しぶりだったんだがな。」
「もう!怒りますよ!?」
「そんなに照れるなよ!」

でもそう言うシンはいつも通りで、私は気のせいだったんだと自分に言い聞かせた。




偶々外を眺めていればユナがいるのに気がついた。月に照らされている彼女がとても幻想的で。まるでいつか聞いたお伽噺の姫みたいに月に帰ってしまうのではないかと馬鹿みたいな不安を覚え、気づけば自分も外へと出ていた。

話掛ければ普通に返事が返ってきて、ほっと息を吐いた俺はきっと疲れているのだろう。
彼女の使う美しい魔法を誉めれば、笑みとともに予想外な言葉が返ってきて、俺は息を呑んだ。

「さっき見てて、この国みたいだなぁって思ったんです。」
「これが?」
「はい。輝く飛沫の1つ1つが国民の笑顔で、きらきら光る星は八人将や兵士の人たち。で、あの全てを優しく照らす月がシンみたいだなぁって。」

純粋に笑うユナに胸が少し傷んだ。

「(なぁ、お前は俺がこの国の為に、いや、そんなのは建前だな。…自分のためにお前を利用しようとしていると知っても、同じ言葉を言ってくれるだろうか。)」

そのくせきらきらとした飛沫を纏う君には何も知らないでいてほしいと、またそうやって笑いかけてほしいと思う俺は、そう、きっと疲れているのだ。

だから、目的の為ならなんでもすると固く誓ったこの決意が揺らいでいるのだ。ただ、疲れていて少しばかり弱気になっているから。少し眠ればきっと、こんな迷いは、無くなる。

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