星に願う
紅に染まる
「すーすーする…」
なんとか着替えたはいいものの、至るところが風通しがよさ過ぎて違和感ありまくりなんですけど、どうしよう。
「ユナー?着替えた?」
「い、一応…」
「じゃあ開けるねっ!」
「え、ちょっ、まっ…!」
心の準備をさせて!そんな私の叫びが声に出る前に扉が開いた。
「ユナやっぱり可愛いー!普段質素な服ばっかだから新鮮!」
「うぅ、ピスティ、すっごく恥ずかしいんだけど、」
「えぇ、それくらい大丈夫だよ!凄く似合ってるよ!ね、シャルルカンもそう思うでしょ?」
「…………、」
ピスティがシャルルカンに話をふるも、彼は何故か私を見て固まっている。
「ほら、似合ってないんだよ!だから着替えさせてぇええ」
「ちょっとシャルルカン!いくらユナが可愛いからって見惚れてないで何か言ってよ!たらしのくせに情けない。」
ピスティがシャルルカンをそう怒っている。というか見惚れるというより私の似合ってなさに驚いて固まっているだけじゃ…。
「だからピスティ、私もう着替えて……」
「、っすっげぇ似合ってるぜ!だから着替えんなよ!」
「え、あ、ありがとう…?っていやいや、着替えさせてよ!」
「だーめ!これで皆をびっくりさせてやるんだから!あ、すいませーん!これそのまま着ていくんで、お会計お願いしまーす!」
「えぇええ!?」
ピスティの押しの強さに私、もうびっくりだよ…。
「ピスティ、お願いだから、一枚なんか羽織らせて…!」
あれから王宮にあの格好のまま帰ってきた。シャルルカンは何故かずっと挙動不審だしピスティはにやにやしてるし、もうワケわかんない。というか、すっごく、見られてる。
「だめ!王とかジャーファルさんとかびっくりさせちゃうんだから!」
「や、やだ!恥ずかしい!」
「可愛いんだから見せなきゃ損だよ。あ、噂をすれば、ジャーファルさん!マスルールも!」
ピスティは少し遠くを歩いていたジャーファルさんとマスルールを目敏く見つけ、声を張り上げた。気づいた二人がこちらへやってくる。
「シャルルカン!隠れさせてね!」
「お、俺!?」
何故か顔を赤くしたシャルルカンはこの際無視の方向で、荷物を沢山持った彼の後ろへ回り込んだ。
「そういえば街にでてたんでしたね。」
「そうなの!」
「先輩、そんなに買ったんすか?」
「ちげーよ、ピスティとユナのだよ。」
「そういえばユナは?」
「え?あぁもう、シャルルカンの後ろに隠れてちゃだめ!何のために二人を呼んだんだかわかんないじゃん!」
「やぁだぁああ」
ピスティが私を見つけ、シャルルカンの後ろから引っ張りだそうとする。そんな私たちにジャーファルさんとマスルールは不思議そうな顔をしている。
「ほら、覚悟決めてね!ジャーファルさんとマスルール、見せたいものがあるんだ!
じゃーん!ユナでーす!」
「ぅうう、」
私は観念してシャルルカンの後ろからそろりと出た。
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