無邪気な君は誰より残酷で


好きで好きで好きで好きすぎてどうにかなってしまいそうだ。



「あれ、飛雄?まだ居たんだ。」

部活は?なんて俺に笑いかけるのは中学からの同級生である名前だ。

「今から行くとこだ。お前、もしかしてまた補習か?」
「残念でしたぁー、今回は違うもんね!」
「どや顔うぜぇ…!てか今回はってお前どれだけアホなんだよ。」

口ではそう言うものの、こいつのことが好きすぎてそろそろ本当にどうにかなりそうだ。

「あ、あははーほら、あれだよ、馬鹿な子ほど可愛いって言うじゃん!」

あぁちくしょう、確かに可愛い。

そんな本音を押し込んで、いつものように憎まれ口をたたく。

「馬鹿も行きすぎるとただの馬鹿だろ。」
「もー飛雄ちゃんは相変わらず毒舌ー!」

でもそんな俺の憎まれ口も笑って流す目の前のこいつをいっそのこと誰にも見られないように、こいつが俺以外みないように、閉じ込めてやろうか。

「うっせーよ。つーかなら何でいんの?」
「ん?あぁ、」

けど、俺のそんな激しい感情も知らずにふにゃりと幸せそうに笑うこいつに、

「菅原先輩待ってるの!」

ぐちゃり、心が潰れる音がした。


(好きすぎて、近すぎて、踏み出せなかった俺。)(好きすぎて、踏み出した先輩。)(あぁ、いっそのこと本当に閉じ込めてしまおうか――…)

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