穏やかな溶解


「人って死んだらお星さまになるんだよね、」

私は窓から星を見上げながら呟いた。

「まだんなガキみてぇなこと言ってんのか。」

同じ部屋にいた晋助は馬鹿にしたように返事をした。

けど、私はそう信じてるのだ。

「先生は優しい人だったからあの星みたいにきっと一等星だよね、」

1番光輝いている星を指差しながら私は言う。

「…。」

今度は晋助は何も言わないが、私は話し続ける。

「きっとさ、人って自分が死んじゃってからも大切な人を見守ってたいからこんなこと言い出したんじゃないかなぁ。」

実際は遠い昔に消えてしまった星の輝きを私たちは見ているらしいのだけれど、そんなの夢がない。

「私もし死んじゃって星になったら、晋助とか銀とか、皆のこと見守ってたいなぁ」

こんな生活を送っているとたまにすごく不安になる。自分の知らないうちに大切な人がいなくなってしまうんじゃないか、と。特に私の大切な人たちは無茶をする人ばかりだから。

「あ、でも時々馬鹿にするかも。相変わらずちっちゃいなぁ、とか天パだなぁとか、アホだなぁとか。」

そんな時、先ほどの一等星が大丈夫だとでも言うようにキラリと光った。いつの間にか晋助が私の隣にいて空を見上げていた。

「あの星、本当に先生かもしれないね。」

「…かもな。」

今度は晋助も馬鹿にしなかった。

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