羨ましい! 「何で紫くんはそんなにお菓子食べて太らないの?」 目の前の小柄な女の子が恨めしげに俺を見上げる。 「ん〜運動してるからじゃない?」 「私だって運動してるのに!」 彼女は俺を紫(ゆかり)くんと呼ぶ。 私なんてお菓子食べ過ぎて太ったのに、なんてぶつぶつ呟いているが、俺から見るとまだまだ細すぎるくらいだ。 目の前で、運動量が足りないのかな?なんて首を傾げている彼女を見てふと思った。 実は意外と重かったりするのかなー。 疑問を抱いた俺はそれを解決すべく目の前の彼女を抱き上げた。 「え、ゆっ紫くん?!」 「ん〜名前ちん軽すぎ。もっと太ったっていいんじゃないの?」 「ちょっ降ろしてっ!私重いからっ!」 俺が持ち上げた途端林檎みたいに真っ赤になってあたふたともがく彼女が可愛くて、俺は彼女の言うことを無視して腕の中に閉じ込めてみた。 「ゆ、ゆゆゆゆゆゆゆかりくんっ?!」 「名前ちんは一体誰の名前を呼んでるの?」 すると更に顔を赤く染め上げた彼女。俺の名前を呼んでるんだろーけど焦り過ぎてゆの数が異様だ。 「あ、あああのっは、離してっ!」 「やぁだ。こんなに折れちゃいそうなぐらい細いのに、これ以上痩せちゃダメ〜。」 抱き締めた彼女の体がやっぱり細くて、俺は何だか不安になった。 「わ、分かったからっ降ろして…っ」 顔を真っ赤にさせたままじたばたともがく彼女。ちーっとも痛くも痒くもないけど、何だかちょっと可哀想になってきた。 「(でもかわいー)ほんとに分かった〜?」 俺がそう聴くと首がもげちゃうんじゃないかってぐらい名前ちんは頷く。離すのはなんだか惜しい気がするんだけど、これ以上苛めちゃったら彼女は爆発でもするんじゃないかな。 「ん〜約束、だからね。」 そう思ってとりあえず彼女を解放したけど、やっぱりなんだか物足りなくなった俺は彼女の前髪を分けて額にキスを落とした。 「〜〜っ(もうダメっ)」 「あ、倒れちゃった。」 「敦、あんまりからかうなよ。」 「ん〜名前ちんが可愛すぎて無理〜」 「はぁ、」 室ちんが呆れたようにため息をついたけど、俺は起きたときの名前ちんの反応が楽しみで聞こえていなかった。 (好き、なんて伝えたらもう一回倒れちゃうかな〜) |