02



「はぁ、お前ふらふらしとんなや。」
「っ別に金造に関係あらへん。」

そんな期待させるようなことしないでほしい。せっかく諦めようとしているのに、また泣きそうだ。

「はぁ、」

私の可愛くない態度に金造が溜め息を吐いた。面倒くさい女だとでも思ったのだろうか。

「もう、腹くくるしかないか。
、一回しか言わへんから、よう聞いとけ!
…………好きや、やから俺のもんになったってほしい。」

「ぇ、?」

今、金造はなんて言った?予想外の言葉に理解が追いつかない。

「好きな子が、いるんじゃ…?」
「っやからお前が好きや言うとんのやないか!」
「嘘…。だって昨日柔造さんと、」

夢のような展開に信じる事ができない。

「は、はぁああ?!お前昨日の聞いとったんか?!」

私の言葉に金造は顔を赤く染めた。私は金造の言葉に頷く。

「金造、私には意地悪やし、私そんなもてへんし、」
「っあぁ〜!もうこの際やから言うけどな!お前は自分が思てる以上にもてんねん!その、俺が、ちょっと邪魔しょっただけで…。」

金造が顔を赤くして半ばやけになって叫ぶ。

「それに意地悪だったんは、その…だあー!俺の性格知っとるやろ?!好きな子は苛めたなんねん!」
「っじゃあほんまに私のこと…」
「好きや!」
「っうぅ〜」
「何で泣くんや?!」

金造が私が泣いたせいでわたわたとしている。
私は不細工な泣き顔を見せたくなくて金造に抱きついた。

「私も、好き…です。」
「何で急に標準語やねん…ってほんまか?!」
「嘘でこんなこと言わへん!」
「っしゃああああ!」

ぎゅうっと金造が私を抱き締め返した。そしてそのままぎゅうぎゅうと抱き締められ続ける。

「ちょっ金造、苦し…」
「さっき声掛けられとった罰や。」
「そんな、私のせいやないし!」
「ほんでも、や!」

金造は離してくれず苦しいままだけど、さっきまでの苦しさとは真逆の苦しみに、私はとても嬉しくて、金造の頬にキスをした。


「私は金造しか見えてへんよ。」


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