向けられた好奇心
「白雪?なんじゃ、それ」
「は、仁王知らねぇの?うわ、ありえねー!」
「そっすよ!ちょー有名じゃないっすか!」
部活が終わり、いつものようにうだうだと着替えていると「白雪」という聞き慣れない名前を聞き、尋ねてみるとさんざんに言われた。でも赤也がどこか納得したように言う。
「ま、仁王先輩は女の方から寄ってくるから知らなくてもおかしくはないっすね」
「あぁ。確かに…」
なんじゃ二人して失礼な奴らじゃ。
「で、誰なんじゃ、白雪って」
「A組の西宮百合つったら分かるか?」
西宮百合…誰じゃそれ。
「男ならすれ違うだけでオちて、微笑みかけられればもうメロメロってな。」
「それなのに誰に告白されてもうんとは言わない女っすよ。」
ふうん、まぁ赤也がそれだけ言うなら相当な美人なんじゃろう。でも、
「どうせ性格悪いとかじゃないんか?」
「や、普通にいいぜ。前話したけど態度変わんなかったし。」
「へぇ……」
「んだよ、自分から聞いてきたくせに無関心なやつ。」
まぁそんな奴に限って学校の外では全然違ったりするもんじゃし。今までそんな女いくらでもいた。
「ええ!丸井先輩、白雪と話したんすか?ずりぃ!」
「ちょっちけぇよ!別にお前も話しかければいいだろぃ。」
「は?無理っす無理無理!」
……でもまぁ今暇じゃし、丁度いいかのう。どうせ大したことない女だろうけど。
「赤也」
「なんすか?」
「今度連れてきちゃるぜよ。」
「は?仁王お前なに言ってんだよぃ!」
「え、どうやってっすか?」
俺のその言葉にブンちゃんは驚き、赤也は期待の眼差しを俺に向ける。
「俺がオトしてきちゃるぜよ」
「はぁ?!お前、やめとけよ!」
いつも乗ってくるブンちゃんが何故か今回は止める。なんじゃ、面白くない。
「ブンちゃん、嫉妬しなさんな。」
「は?ちっげえよ!」
まだブンちゃんが後ろで何か喚いていたが、無視することにした。
けど、今はどうして無視をしたのかとどうしようもなく後悔しちょる。