君と僕の関係 | ナノ

部活が始まって、1ヶ月がたった。マネージャー業は確かに大変なものがあったが、3年間征ちゃんにしごかれた私にはこれくらいなんてことなかったりする。

でも練習は見学した時とは比にならないくらい厳しかった。中学で腕をならした人たちも次々と辞めていく。

そして、その上一年生で練習後に自主練をする人なんて殆どいない。

けれど、そんな中でもみーちゃんと高尾は毎日自主練をしている。特に高尾はどこかみーちゃんに張り合うようにみーちゃんが残っているときは必ずいて、練習中も競っているように見えた。









シュパッ

「はい、200〜。」

「ブフッ」

みーちゃんの練習に付き合いシュートを数えていたある日、お約束のように残っていた高尾が吹き出した。

「何がおかしいのだよ」

「いやあ…何度見てもすげーし…それに高すぎ…!シュート。」

高尾がプスススと笑いをこらえてみーちゃんの肩を叩く。

「うるさい…というかこれくらいなら真白も出来るのだよ」

「は?!え、マジで?!」

「え、まぁ、うん。」

「っはーやっぱ帝光ともなるとマネージャーまで違うのか!
や、まぁ否定する気はないぜマジ!」

「…それよりどーゆうつもりなのだよ。」

「へ?」

急に話を人にふってくるわ、話を変えるわ一体どういうつもりなの、みーちゃん。

「最近俺が残っている時は必ずお前もいる。それに練習中も何かと張り合ってくるフシがある。
俺に特別な敵意でもあるのか?」

やっぱりみーちゃんも気づいてたんだ。
私も気になっていたことだったので高尾を見つめた。

「…まーな。つかやっぱ…思い出してはもらえねーか
俺中学の時一度お前とやって負けてんだけど」

「………」

そうだったんだ。まぁ帝光は3軍迄あった分沢山試合をこなしていたから忘れてても無理はないよね。

「悔しくて引退後も練習続けて…そんでいざ高校進学したら笑うわマジ」

絶対倒すと決めた相手が同じ仲間として目の前にいやがる。

そう言った高尾の目はどこか悔しそうで、それでも意志の籠ったものだった。

「…なぜ言わなかったのだよ?」

「はい?……ブハッ」

「なぜ笑う」

や、私も流石にこの場面でそれはないと思うよ、みーちゃん。

「いやいや、当たり前でしょ。」

「真白ちゃんもそう思うよな?
普通に考えろよ!
まさか言うの?俺が?
『ボク君にボコボコにされてから頑張ってきたんだ!認めて!』って?
ダッセェ!」

おかしそうに高尾が笑う。みーちゃんは相変わらず空気の読めない男だった。

「そんなつもりねーだろーけど、
むしろまだ認めんなよ。俺はただお前より練習するって自分で決めた事をやってるだけだ。」

みーちゃんは口を開かず、高尾を見つめている。

「そのうち思わずうなるようなパスしてやっから覚えとけよ真ちゃん!」

「ぶは!真ちゃんとか可愛い!」

「だろ?」

「…その呼び方はなれなれしいからやめろ高尾」

何だか高尾がみーちゃんを変えてくれるんじゃないか、そんな予感がした。

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