君と僕の関係 | ナノ

「あ、美味しそー」


ジェラートを売っている車を発見して私はつい呟く。

あれから町を二人でぶらぶらして、辰也が興味を持った店や雑貨屋、本屋など様々なところを回った。何だか案内っていうよりはデートみたいで、何だか少し気恥ずかしいのは私だけなのかな。

「ふふ、相変わらず好きなんだ。食べる?」

「うん!」

思わず勢いよく返事をした私に辰也がふにゃりと笑う。な、なんか照れる…!っていうか私がアイス好きって覚えてくれてたんだ。

「何にする?」

「ラムレーズンかフランボワーズ、かなぁ…うーどっちにしよう!」

「ダブルにすればいいんじゃないかな?」

辰也がクスクスと笑いながら言う。何だかすごい食い意地張ってる子みたいだ私!

「う、…そうする。」

「すみません、ダブルでラムレーズンとフランボワーズ、あとシングルでブラウニーお願いします。」

さらりと注文をしてお金を出そうとする動きが滑らか過ぎて一瞬忘れそうになったけど、私は慌てて財布を取り出した。

「辰也、自分の分は自分で払うよ!」

「ん?あぁ大丈夫だよ。」
「いや、でも私ダブルだし!」

「そうだな…じゃあ今日のお礼ってことで受け取ってくれないか?わざわざ休みの日に俺に付き合わせちゃったし。」

私も結構楽しんじゃってるんだけどとは思わないでもなかったけどこれ以上意地を張るのも失礼かな、と思い奢って貰うことにした。

「、ありがとう!」

「どういたしまして。」

そう言って私にジェラートを手渡した辰也は王子様みたいだった。


「あ、そうだ。スポーツショップ行きたいんだけどここら辺にあるかな?」

「うん、結構おっきいのがあるから案内するね!」

何だか漸く案内らしいことができてる気がする!…いや、今日の目的はもともと案内なんだけどね。



















「あ、テーピング安い!」

でもいざ着いて見ると、マネージャーをしているせいかそんなところばかり目についてしまう。

「真白もバスケを?」

「んーん。マネージャーだよ。よし、買っちゃお」

「羨ましいな、」

「ん?何て?」

「いや、マネージャーの鏡だなと思ってね。」

そこで私ははたと気付いた。案内で来てるのに何してるんだろう私。…でもテーピング、安い…。

「あ、新しいの出てる。」

軽く自己嫌悪に陥っているとそんな声が聞こえた。

「あ、ほんとだ
ここのメーカーって丈夫でいいらしいよね。」

確かこのメーカーはあっくんが愛用していた。彼が丈夫というくらいだからかなり丈夫なのだろう。

「うん、詳しいな。」

「友達が愛用してたからね」

「友達ってバスケ部の?」

「え、もちろん」

「…へぇ。」

どうしたんだろう?
まぁ取り敢えずテーピングだけ買ってこようかなと思ったとき、私の視界にあるものが入った。
あれならお礼もかねて、ちょうどいいかな。

「辰也、私取り敢えずこれ買ってくるね。」

「じゃあ俺はここで待ってるよ。」


私はそう言い残し、こっそりそれも籠に入れてレジへ向かった。





















「ふぅ、なんやかんやで意外と時間たつの早かったね。」

「そうだね、楽しかったからかな。」
「あはは、そうかも!
こっちに来て落ち着いたらまたお出掛けできたらいいね!」

あのあともいろいろと服を見たりしているといつの間にか日が傾いたので、私は辰也に家まで送ってもらっていた。辰也は今ホテルに泊まっているらしい。


「そうだね、楽しそうだ。」

「でも辰也は彼女さんとかすぐ出来そうだし、無理かな〜」

「そんなことないさ。」

「えー大有りだよ。優しいしカッコいいしきっとモテるね!」

「もう、からかわないでくれよ。」

誉めすぎたのか辰也はほんのり頬を赤くした。大人っぽい辰也も照れるんだ、とやっと高校生らしいところが見れた気がした。

別にからかってなんかないんだけどなぁ。

「あ、そうだ!辰也、これ私からプレゼント!」

「?」

私はさっきのスポーツショップで買ったものを取り出した。彼に似合うようシンプルなデザインの物を選んだつもりだ。

「リストバンド?」

「うん、ジェラートのお礼と日本にお帰り!の気持ちをこめて!」

「、ありがとう、大事にするよ。」

そう言って柔らかく微笑んだ辰也はやっぱりイケメンで、未来の彼の彼女は苦労するだろうなぁ、なんて全く関係のないことを思った。

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