緩やかに絞殺 | 「っい!?」 どんっと壁際に追いやられる。 「あ、かしくん?」 何で、怒ってるの? さっきまで教室で先生に頼まれた書類をホッチキスどめをしていたはずなのになんでこんなことになっているの…? 目の前に暗い火を灯した赤い瞳が広がる。 「そんなに楽しかった?」 「、?」 ぎりっと押し付けられた腕にさらに力が込められる。 「いっ…た!」 「さっきの男といるのがそんなに楽しかったのか?」 「え…?」 赤司くんが何を言っているのかよくわからない。そもそも赤司くんはこんな人じゃなかった。 授業中分からない問題を教えてくれたり、雑用を手伝ってくれたりととても優しい人だったのに。そして私はそんな彼に恋をしていたのに、それなのに、どうして…? 「はは、わけが分からないって顔をしてるね。」 「な、で?」 「ほんとは時間をかけてどろどろに甘やかして、俺がいなきゃだめなぐらいにするつもりだったよ。」 目の前の赤司くんが何を言っているのか分からない。 「けど、駄目だ。あんなやつに茜が笑顔をむけるだけで、あいつを…――殺してやりたくなる。」 「そ、んな…斎藤君は、ただ…っうぁ、」 赤司くんの手が私の首を締め上げる。 「あんなやつの名前を呼ぶな。本当に殺してしましそうだ。」 「や、!」 私はこんな人知らない。目の前にいるのは、一体、誰? 「拒否することは許さない。」 「ぁ、や、めて、赤司く、」 「いくら茜の頼みでも聞いてやれそうにないな。」 するっと彼の指が私の頬をなぞる。 「君のこの瞳も、体も、髪の毛一本まで俺のものだ。」 私が好きだった彼は、本当にこの人なの? 「茜、」 でも、私を呼ぶ声は、同じだ。 「俺を見て、ねぇ、もう分かっているだろう?」 この、優しげに微笑む表情も、同じ。 彼の口元が、私の耳元へ近づく。そして優しく、甘く、呟く。 「俺の手の中に、堕ちておいで。」 まるで甘い毒のようなその一言に私の何かが崩れる音がした。 ――――――――― あれ、切甘のはずが、これなんてヤンデry(… 千晴さま、企画参加ありがとうございました! |