![]() | 「ねー茜」 「何?重いんだけど。」 部屋で課題をやっていると、涼太が後ろからのし掛かってきた。180以上ある男が重くないわけがないのに気づけよとか思う私は決して涼太が嫌いなわけではない、うん。 「茜〜」 頭をグリグリと私の背中に押し付けてくる涼太はいつにもまして犬みたいだ。 「どうしたの?いつにもましてひっついてくるじゃん。」 「ん〜。好きっす」 好きなんす〜と言いながら核心は言わない。何か涼太をこんな風にすることしちゃったっけ、とここ1週間くらいのことに頭を巡らせる。 「あ、もしかして皆川くん?」 ぎゅう、と回された腕の力が強くなったからどうやら当たりみたいだ。 「涼太、ちゃんと断ったから。」 「………。」 「ね、何が嫌なのか言ってくんなきゃ私わかんないよ。」 「…最近、皆が……って」 「え?」 「最近皆が茜のこといいって言うから…」 取られちゃうんじゃないかって…という涼太はいつもの自信満々な陰は1ミリもない。 「涼太、」 「……なんスか、」 「私さぁ、涼太のさ笑顔が好きなんだ。」 「………。」 「大丈夫だって変に自信満々でさ、励ましてくれる涼太が好き。 そのくせ変に自分のことには不安いっぱいで」 「、それは、しょうがないじゃないっすか」 「でも私そんな涼太が、スゴく好きなんだよ。」 「!」 「涼太より優しい人が好きって言ってくれても、大人な人が好きって言ってくれても、無意識に涼太と比べちゃうの。」 涼太はこんな風に笑わないなぁとかこんな風に私に手を伸ばさないなぁとか、いっつも涼太が浮かぶ。 「っそんなの、俺だって…」 告白される度に茜と比べちゃうっスもん、そんな涼太の言葉に不謹慎だけどつい頬が緩む。 「ふふ、ほんと?…嬉しいなぁ。 ね、こんな馬鹿みたいに涼太のこと考えてる私が他の人見えると思う?」 「…思う。」 頑固だなぁ。しょうがない、ここは恥をしのぼう。体をくるりと涼太の方へ反転させ抱き着き、そして涼太の手を自分の胸元へ持っていく。 「え?!ちょっ茜?!」 驚いている涼太は無視する。私だって恥ずかしいのだ。 「私だって、涼太が傍にいるだけでいつもこんなにどきどきしちゃうの!」 「、茜…」 「恥ずかしいから冷たくしちゃうし、その…」 ヤバい、やっぱり超恥ずかしい。恥ずかしさで言葉がつまり、もごもごとしてしまう。 「あーもう!つまり私は涼太が思ってる以上に好きなのっ!」 もうどうしようも無くなってやけくそに叫んで涼太から離れた。 「〜〜〜っ茜!俺も!俺も好きっス!」 「わっ?!」 さっきまでとは一変して凄く笑顔になった涼太に、恥ずかしいことをしてしまったという羞恥心と共に彼が笑ってくれたならいいか、なんて考えてる自分に気付き、これからはもう少し素直になろう、なんて思った。 ――――――――― 一応、甘いということに…; 綾さま、今回は企画参加ありがとうございました! |