馴れ初め
※hedonist番外編

「ゆーちゃん、ベッド貸して?」
「あ?またかよ。ったく、こんなサボり魔が首席なんだから世の中不公平だよな。」

そんなことをいいながらも私を追い出さないゆーちゃんが好きだよ。なんて考えてみる。
え?どうしてそんなに仲が良いのかって?そうだな、どうせ暇だし昔話でもしようか。



「寝坊しちゃうとか、初めてだよ。」

新学期の始まりの日だと言うのに、私は寝坊をして少し遅れて学校に着いた。

「まぁ、どうせこれから始業式だろうしこのままどこかでいようかな。」

来たもののどうにも始業式に出席する気になれず、裏門から帰ろうと考えて私は裏門へ向かった。

「?」

裏門へ向かうと、煙草の匂いがした。吸っているのは真新しいスーツに身を包んだ男の人だった。

「おにーさん、ここは学校ですよ?」

私がそう声を掛けると、男の人は驚いたように此方を見た。なかなかのイケメンさんだ。こんなところに誰かが来るなんて思っていなかったのだろう。どこか焦っている男の人に、私は口を開いた。

「ふふ、別に誰にも言いませんよ。私だってサボりですから。」

私がそう言えば男の人はあからさまに肩の力を抜いた。

「新任の先生ですか?」
「あぁ、保険医だ。」
「ふふ、保険医なのに煙草?」
「うっ、」

ついちょっとからかってみると、どうやらいじられキャラだったらしい。

「冗談ですよ。こんな所で会ったのも何かの縁です、おにーさんお名前は?」
「はぁ…高城悠哉だ。お前は?」
「茜です。」
「あ?名字は?」
「気になったなら探してみてください。すぐに何でも分かるなんて、つまらないでしょう?」

私はおにーさんにそう笑ってみせる。少ししか話してはいないけれど、きっと乗ってくれるだろう、なんて変な自信があった。

「ふ、あぁ、探してやるよ。」

ほらね?

「じゃあ、再会への願いでも込めて。」

私はポケットに入っていたイチゴミルクの飴をおにーさんに渡す。

「煙草が見つかって、クビにならないように御守り、です。」

私がからかうように言うとおにーさんは何か文句を言いたげな顔をしたものの受けとる。

「緊張には煙草なんかより甘いものですよ。」
「!」
「それじゃあ、頑張ってくださいね。」

私は最後にもう一度おにーさんに笑いかけ、裏門から出た。


「おい、もう昼休みだぞ。」
「あれ、もう?」

私はゆーちゃんのその言葉にベッドから出た。

「?」

彼の机の上のプリントの下に何かが挟まっているのに気付き、私はそれを捲った。

「あ、おい!」
「、これってもしかして」

そのプリントの下にあったものを手に取ると、すかさずゆーちゃんに奪われた。

「あーうるせっ!おらっさっさと帰れ!」
「……ふふ」


そしてその机の上にあったもの――イチゴミルクの飴の包み紙にプリントされた苺のように、顔を赤くした彼に保健室から追い出された。

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はい、実はこんな出会いをしていました(^ω^)←
絢爛さま、今回は企画参加ありがとうございました!
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