「あー腹減った!」
「また、先輩に負けた…っ」
夕飯の準備をしているとそんな言葉が聞こえてきて、あぁ練習終わったんだ、と悟る。
「お疲れさまー!夕飯出来てるから好きな量、ついでね!」
お皿を用意しながら、そう声をかけた。
「この匂いはカレーかの?」
「うん、定番でしょ?」
合宿といえば!と雪は笑う。
「一応ねーこっちが辛口でこっちが甘口!
好きな方ついでね!」
2つの鍋を指差しながらそう説明する。
「あ、あとサラダはもう盛ってあるからねー」
そう最後に付け足すと、皆はそれぞれにご飯をつぎカレーを盛り、席についた。
「じゃあ食べようか。」
幸村のその言葉にみんないただきます、と律儀に手を合わせてから食べ始める。
「うまー!吉田、お前料理上手なんだな!」
「ほんとうまいっす!」
真っ先にカレーを掻き込んだ丸井と切原がそう声をあげる。
「あは、ありがとー」
「確かに上手いな。何か入れているのか?」
こんな時までデータをとるのか、柳がそう聞いてくる。
「ん?あぁ、チョコレートをねー。」
「チョコレートなんて入れるんですの?」
「ふむ、チョコレートか…」
「うん!意外だと思うけど、ホントに入ってるんだよ!」
雪のその言葉に隣で食べていた麗奈は驚き、柳はどこからか取り出したノートに何かを書き込んでいた。
「柳、食事中はノートぐらい置いときなよ。」
そしてそんな柳を見て、幸村が呆れたようにそう言った。
「おかわりついでいいか?」
食べ終わったのか丸井がそう聞いた。
「いいよ。いっぱい作ったし。」
「俺も欲しいっす!」
雪がそう返すと、二人は一目散におかわりをつぎにいった。
「じゃあ俺ももう少し食べようかな。」
近くにいた幸村もそう言い、おかわりをつぎにいった。
丸井と切原はすでについぎ足した分を完食しそうな勢いだ。
雪は冷蔵庫に水を取りに行きながらその光景を見ていた。
「やっぱりスポーツマンはよく食べるねー。」
「ごちそうさん。」
すると、後ろで声がした。
「旨かったなり。」
仁王が食べ終わったお皿をシンクに入れながら言う。
「あ、わざわざ持ってきてくれたんだね、ありがとー。」
「こんくらいはせんとな。」
仁王はくしゃりと雪の頭を撫でる。
「にーくんはもう食べなくても?」
そう聞くと、仁王はげんなりとした顔をした。
「ブンちゃんと赤也を見るだけでお腹一杯じゃ。」
目線を丸井と切原のほうへやると、3杯目のカレーを食べていた。
「確かにー」
「じゃろ?」
二人が話している後ろでは丸井が4杯目に突入していた。