「じゃあこれ部屋割りだから、各自部屋に荷物置いて着替えてきて。30分後にここに集合ね。」
バスから降りると幸村からそう指示があった。各自同じ部屋の人たちと動き出す。
「雪様、私たち同じ部屋ですわ!いっぱいお話しましょうね!」
「そうだね!
というか、思ってたよりおっきいし綺麗だねー」
麗奈と二人で話ながら部屋に向かう。
「そう言えば3日目にもう一校くるまで、ここを使うのは私たちの学校だけらしいですわよ。」
「じゃあ貸し切りってことだね!私たちは1週間いるんだっけ?」
「ふふ、ですわね。ええ、1週間ですわ。そんな長い間一緒にいれて嬉しいです!」
「学校じゃクラス違うもんねぇ。あ、ここだ。」
話しているうちに102と書かれた部屋にたどり着いたのでドアを開ける。
「あら、以外と広いわ。」
「ほんとだねー。ひろーっ!」
雪は荷物をベッドの脇に置くと、ぼふんっと倒れこんだ。
「ふあーふかふかぁ!」
まるで子供のように喜ぶ雪を見守る麗奈の気分はまるで姉だ。
「ふふ、ほら、早く着替えましょう?」
「うん!」
二人で荷物を開けてジャージを取りだし着替える。
「上はTシャツでいいよね?日焼けどめ塗らなきゃ!」
雪は日焼けどめを取りだし、顔と腕に念入りに塗る。麗奈も着替え終わると丁寧に日焼けどめを塗った。
「汗をかくと落ちてしまいますし、いっそのこと日焼けどめ持っていきましょうか。」
「そだね!日焼けしちゃうと痛いもんね。」
二人は小さな鞄に日焼けどめや必要なものを入れて部屋を後にした。
「あ、皆そろったね。
明日からのスケジュールは前配ったプリント通りだよ。
今日は軽く体動かして、何試合か組もうか。」
「ほんとっすか?!やりぃっ」
試合と聞いて切原の目が輝く。
「じゃあマネージャーにはドリンクとあと夕飯の準備、頼んでいいかな?」
「うん。」
「ええ。」
幸村のその言葉に二人は頷いた。
「台所も綺麗だねー!」
「ですわね……」
「?何かあった?」
歯切れの悪い麗奈に雪はそう問いかけた。
「…お恥ずかしい限りなのですが、私、料理というものが、さっぱりでして、」
お手伝いもできるかどうか、と暗い顔をした麗奈がそう言う。
「それくらい気にしなくて大丈夫だよ!私人並みには料理できるし!」
気まずそうな麗奈にそう声をかける。
実を言うと、帝光時代にさつきが酷すぎたので雪が上手くならざるを得ず、料理の腕が上達したため1人で料理するぐらいなんてことないのだ。
「申し訳ありませんわ…。」
「そんなに落ち込まないで!あ、じゃあ変わりにドリンク、お願いしてもいいかな?私買い出しも行かなくちゃだし…」
「!もちろんですわ!それくらいお任せください!」
「ありがと!じゃあ、私ゆーくんに買い出し行くって報告に行ってくるね。」
「はい、分かりましたわ!」
雪はそう言って一旦麗奈と離れた。