「どうしたの?れーちゃん、にーくん。」
何だか元気のない二人に雪が気付き、声をかけた。すると、麗奈と仁王は顔を上げる。
「ずるいですわ!私だってこの間やっと呼んで頂けるようになったばかりですのに!」
「俺だってそうじゃ!
赤也なんてあんな敵意むき出しだったくせに、調子が良すぎるぜよ!」
どうやら二人とも、赤也と幸村があっさりあだ名呼びになった事が不満らしい。
「べ、別に出会った頃のことは関係無いじゃないっすか!」
赤也もあの態度は反省しているのか、少し歯切れが悪い。
「だって二人だけ雪と仲がいいみたいでずるいじゃないか。」
そう言う幸村の声音には少し嫉妬心が混ざっているようである。
「別に4人を呼び方で差別なんてしてないよ?そりゃ仲良くない子はあだ名つけないかもだけど。」
ここで雪が口を開いた。
「呼び方に関係なく、れーちゃんもにーくんもきりちゃんもゆーくんも私は大好きだからね!」
にっこりと笑う彼女に麗奈と仁王の嫉妬心や悔しさといった感情は何処かに消えてしまった。
「私も大好きですわっ!」
麗奈がそう言って雪に抱きついた。
「お、俺もじゃ!」
「へたれめ(ぼそっ)」
仁王が少し吃りながらもそれに続く。
「ありがとー!」
雪は満面の笑顔でお礼を返す。幸村の呟きは聞こえていないようだ。が、そこで、
「さ、雪様。そろそろ私とマネ業に戻りましょう!」
麗奈は「私」を強調しながらそう言い、雪を拐うように連れ去った。
「何か最終的に桂木の1人勝ちみたいで気分悪いんだけど。」
((((((かっ桂木ーっ!))))))
その後不機嫌な幸村による地獄の練習メニューが展開されたとかされなかったとか。