「今日も皆元気だね!ってことでドリンクですよー!」

放課後、部活が始まり雪は慣れたようにドリンクを配る。

「あーやっと休憩か!」
「今日あっちーよな!」

集まってくる部員たちは汗がだらだらと流れている。

「熱中症にならないようにちゃんと飲んどいてね!」

そんな部員達を見て、雪はそう声をかけてから隣のコートへ向かう。


「洗濯終わりましたから、運ぶの手伝いますわ。」
「ありがと、れーちゃん!はい、ドリンクですよー!」

そう彼女が叫ぶと隣のコート同様わらわらと幸村や丸井たちが寄ってきた。

「ふ、仁王、貴方顔が死んでますわよ?」

暑さに弱いのか何だか元気の無い仁王の顔を見て麗奈が笑った。

「む、無理じゃ…」
「おっまえ今からんなこと言ってっと真夏死ぬぞ?」

干からびかけの仁王に丸井がそう声を掛けるが、暑いものは暑いらしく仁王はふらふらするばかりだ。

「鍛え方が柔だからじゃないかな?」

幸村がそう言ってふふ、と笑うと何故か皆の背中に悪寒が走った。

「どうしても無理だって言うなら、今から体力つけてくるかい?」

幸村、こあい。皆がぴしっと背筋を伸ばす。もちろん仁王もぴしっとなって首を横にぶんぶん振った。

「ま、まぁとりあえず、ドリンク飲めばちがうんじゃないかな?!
はい、にーくん!」

流石の雪も何かを感じとったのか必死にフォローする。

「お、おん。」

仁王もドリンクを受けとる。

「「…にーくん?」」

と、そこで幸村と麗奈の声が被った。

「?どうしたの?」
「雪様は何時からこの白髪のことをにーくんだなんてあだ名で呼ぶように?!」
「へ?あぁ、昨日かなー?」
「ふふ、仁王。抜け駆けだなんていい度胸してるよね。」

幸村の呟きに仁王はポーカーフェイスを保っている。…少しびくっと跳ねたが。というか桂木、白髪は流石に酷い。


「じゃあ俺もそういう風に呼んでください!」

赤也がここぞとばかりにそう名乗り出た。

「ん、いいよ。じゃあねー」
「俺も、呼んで欲しいな。その方が仲がいい感じがするしね。」
「わかった。じゃあ、切原君はきーちゃん、じゃ被るから―…きりちゃんね!幸村君はゆーくんで!」

つけられたあだ名に赤也と幸村は満足そうだが、不機嫌そうなのが若干2名。


「ずるいですわ…。」
「同感ぜよ。」

麗奈と仁王だ。
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