「〜♪」
ある日曜日雪は鼻歌を歌いながら街を歩いていた。
「あ、むっくーん!」
「雪ちんだ〜。久しぶりー。」
時計台に一際大きい男の子を見つけ、名前を呼ぶと相手も此方に気づいたようで寄って来てくれた。
「わわ!ちょ、潰れる!」
「ん、もうちょい。」
「ぎゃーん!」
寄って来たかと思うと、ぎゅーと抱き締められた。いかんせん男の子が大きすぎるため覆い被さっているようなもので、雪の背骨が悲鳴をあげる。
「ちょ、背骨が……」
「あ、ごめーん。久しぶりだったから、加減忘れてたー」
やっと解放され、雪は危なかった、と一息ついた。
「でも本当久しぶりだね。1ヶ月は会ってないよ!」
「でしょ〜?雪ちんいないから、誰ともお菓子について話せねーし。」
「あはは、そっか、皆そんなにお菓子食べないもんねー
私はねー絶対お菓子くれる友達できたんだよ!いいでしょ。」
雪は長身の男の子―紫原敦に自慢げに笑った。
「えーなにそれずるい。」
紫原がそう言って唇を尖らせた。
「ふふーでしょー。」
何だか端から見ていると和む二人組だ。
「じゃあそんなむっくんの為に早くスイパラ行こっか!」
「やったー。」
2人はそう話し、仲良さげに手を繋ぎスイパラへ向かった。
「わ!美味しそー!」
「いっぱいだねー。」
スイパラについた2人は早速好きなスイーツをいくつか選び、席に着いた。
「むっくん相変わらずよく食べるね!」
雪も沢山選んだつもりだったが、机の上のスイーツは7割がた紫原の選んだもので埋まっている。
「まぁ、雪ちんとは身長もだいぶ違うしねー。」
「む、遠回しに小さいって言ってる?」
「ひがいもーそーだよー。」
そんな話をしながらも、机の上のスイーツはみるみるうちに減っていく。
「あ、もうなくなっちゃったー。」
「何でむっくんの方が量あったのに、食べ終わるスピードが同じなの?」
「雪ちんの口ちっちゃいからねー」
「えー結構大きいよ?」
「俺に比べれば全然だよー。」
「そう?
まぁもう一回取りに行こっか!」
「そだねー」
そして2人でもう一度スイーツを取りに行く。あれだけ食べてまだ食べられるなんて雪の体は謎である。