「はぁ?」
朝靴箱を開けると白い紙切れが入っていた。
「あんたらっすか。俺を呼び出したの。早く部活に行きたいんすけど。」
最近いらいらしていることもあって自分を呼び出したであろうテニス部の先輩たちにもつい不遜な物言いになってしまう。
「!お前さぁ、1年の癖に次期レギュラー選ばれたからって最近調子乗りすぎじゃね?」
「は?」
「あんなテニスでしか勝てない癖に、うぜぇんだよ!」
1人が赤也を突き飛ばす。
「ってめ!」
自分のテニスを侮辱され頭に血が上り、やり返そうと拳を握った。
「おい、いいのか?俺らはテニス部なんてどうでもいいけど、お前がここでし返したら迷惑かけんじゃねぇ?」
男たちは暗に殴ったらばらすと言いたいのだろう。もし、テニス部同士の殴りあいなんてばれたらよくて部活動停止、最悪大会に出られない。
「っくそ」
「はっお前は大人しく殴られてればいいんだよ!」
「どうする?手でもやっとくか?」何て、ついてない。
最高にムカつくけど自分だけが我慢すれば終わることだ。
そう思い、ある程度の怪我を覚悟した。
「まぁ、ひびはいるぐらいにしといてやるよ!」
男が拳を振り上げたのが見え、赤也は目をぎゅっと瞑った。
(骨折しねぇと、いいな)
「ダメだよ。」
そこで、声が、聞こえた。
「何してるの?こんなことして、どういうつもり?」
閉じた目を開けると、冷たい目をしたマネージャーが、いた。
「なんだ?先生にでも言いつけるか?」
下品に男が笑う。彼女の目が頭に来たのか笑顔がひきつっている。
「…………。」
彼女は何も、言わない。
「まぁ、その前に言えないようにするけどな!」
「っそいつは関係ねぇだろ?!」
赤也はたまらず声をあげた。仮にもあいつは女だ。
「あ?お前のせいだろ!おい、恨むなら切原を恨めよ!」
男はそう言うと今度は彼女を殴ろうと拳を振り上げた。
「そんな手で、触らないで。」
彼女から発っせられたとは思えないほど、冷たい声がその場に通り、殴りかかった男が倒れた音が、響いた。