「マネージャーの話、受け入れてくれてありがとう。」
約束の放課後、雪と麗奈は幸村と会っていた。
「気にしなくていいよ、別にー。」
「私は雪様を守るために行くのですから、そこら辺勘違いなさらないでくださいね。」
麗奈の不遜な物言いに幸村はぴくり、と頬をひきつらせた。
「別に、そんなに嫌なら来なくてもいいよ?雪は俺たちだけでも守れるし」
「はぁ?何をおっしゃっているのですか?私は貴方たから守るために行くんですのよ?」
まるで蛇とマングースである。
「まーまー。落ち着いてー。私桂木ちゃんと一緒で嬉しいし、いいじゃん!」
何故か雪にそう言われるとするすると怒りがひくから不思議だ。
「で、私何をすればいいの?」
麗奈は未だに幸村を睨んでいるがこの際それは無視して雪の疑問に答える。
「あぁ、そうだ。慣れるために合宿までマネージャーをお願いしようと思ってるんだけど、大丈夫かな?」
これはマネージャーを頼んだ時から考えていた事だ。
「別に大丈夫!桂木ちゃんは?」
「私も、水曜日と金曜日以外なら大丈夫ですわ。」
「良かった。あ、それと今回の合宿は次期レギュラーだけなんだ。」
「そうなの?」
「あぁ、先輩は最後の大会の最終調整で来ないし、あとは次期レギュラーたちの親睦を深めるためにね。毎年の恒例なんだ。」
「へー。」
麗奈はファンクラブ会長と言うだけあって知っていたのか別段驚かなかった。
「じゃあ皆に紹介するから着いてきて。3年の先輩達は別コートだから気にしなくてもいいから。」
幸村がそう言ったので二人は幸村に着いていく。もう幸村はほぼ部長として大体の仕事を任されているようだった。
「集合!」
幸村がそう言うと皆がすぐさま集まってくる。2年生ながらなかなか貫禄がある。
「今日から合宿が終わるまでマネージャーを頼んだんだ。じゃあ、二人とも自己紹介でもお願い。」
「2年吉田雪です。合宿終わるまでですが、宜しくお願いしますねー。」
なかなかの人数が目の前にいるものの、雪は緊張した様子もなく、さらりと挨拶をこなした。
ぱちぱちと拍手が起こる。
一方麗奈は名前と学年だけを告げ挨拶を終わらした。
部員達は少し唖然としていたものの、一応拍手をしておいた。
「よし、練習に戻って!じゃあ二人とも宜しくね。蓮二!二人にすることを教えてあげて!」
幸村がそう言い、柳を呼んでくれたので、3人で部室へむかった。