「ただし、条件があるわ!」
了承したはずの梓はやはり満足いっていないのか、仁王と丸井をぎっと睨み付けた。
「私も行くわ!いつあるの?!」
「………は?」
「いつあるの?!」
梓のあまりの迫力につい丸井が敬語で答える。
「あ、20日から…です。」
「はぁ?変更できないの?!」
「む、無理言うなよ!」
「私試合入ってんだけどっ」
「んなの知るかっ」
理不尽に怒る梓に仁王のキャラが壊れた。
「なら、私かついて行きますわ!」
今まで不機嫌ながらも雪の意見を尊重し、黙っていた麗奈が口を開いた。
「よろしいですわよね?」
「「はっはい!」」
梓に負けず劣らずの迫力に二人は頷いた。
そして梓も桂木さんが行くことに妥協したのか、文句をつけなくなった。
その代わり、麗奈の肩をがっしりと掴んで言い聞かせていた。
「桂木さん、頼んだわよ!」
「任せてください!雪さんは私がお守り致しますわ!」
学校の2大最強女子ががしっと握手を交わした瞬間だった。
「特に仁王と幸村は要注意しといて間違いないわ。」
梓のあまりの鋭さに仁王が一緒びくりとなった。
「(あいつ、気づいて…?)」なんか女、怖い。仁王の心情が先ほどの男子たちの心情と重なった。
「分かりましたわ!」
麗奈は任せとけ!と言わんばかりに返事をした。
雪は桂木ちゃんと一緒だぁと1人ほのぼのしていた。
「じゃあ、明日の放課後顔合わせがあっから来いよ!」
「「あぁ?」」
握手をしていた二人が鬼の形相で振り返った。
「(びくりっ)いや、あの、来てください。」
丸井、哀れ。
「はーい。」
雪だけは無邪気に返事を返していた。