「「雪っ/雪様っ!
もちろん断るよね?/断りますでしょう?」」
すかさず雪に梓と麗奈が詰め寄った。
「何だか皆必死だねー」
相変わらず雪は1人だけどこか呑気だ。
「吉田頼む!頼れるやつが他にいねぇんだよい!」
そう言って丸井も、そして仁王も詰め寄ってくる。何だか4人とも目が血走ってる。
「別にいいよー。」
「「よっしゃぁっ!」」
「ダメよ!雪!あんな男臭くなっちゃうわよ?!」
「そうですわ!それに、いろいろと危険です!」
「別に帝光も男臭かったし、大丈夫だよー。それに困ってるみたいだしね。心配してくれてありがとね?」
「ほれ、雪もこう言っとるしいい加減諦めんしゃい。」
雪の言葉にすかさず仁王が付け足す。
「ダメよ!ダメったらダメよ!」
しかし梓は手強い。
「ファンたちの怖さは私が1番知ってるんだから…!」
梓のその言葉に教室が静まり返る。仁王もさすがに口をつぐんだ。
重い沈黙が流れる。
「あずちゃん、」
そんな中雪が口を開いた。
「私ね?スポーツしてる人が好きなの。自分の好きな事に没頭してる、あの横顔が、好き。」
雪は誰かを思い出しているのか少し目を細めて柔らかく微笑んだ。
「だから、そんな人たちが困ってるなら私に出来るだけのことはしたいの。」
仁王はその雪の柔らかい笑みに誰かを想っているのか、と少し苦しくなった。
「それにさ、私結構強いんだよ?だからね、」
大丈夫だよ。
真摯な目で雪が言った。
「…………。」
「あずちゃん、」
梓は黙っている。
「…………はぁ、分かったわ。」
「ありがとっ!」
雪は嬉しそうに笑って梓に抱きついた。