柳生が目を見開いて固まった。

「んー多分、私を疑ってるんだよね?丸井くんや仁王くん、幸村くんと――テニス部次期レギュラーと仲がいい私を。」

雪は幼い頃から赤司と過ごしてきたためか、人の感情には滅法鋭い。
だから、初めて会った瞬間に気づいた、この人は私が嫌いなんだ、と。

「次期レギュラーは皆もてるから、変な女に近づいて欲しくない。皆に傷ついて欲しくない。だから急にやって来てよく分からない私が疑わしい、嫌い。そんなところだよね。」

「、だとしたら、どうするんですか?私を説得でもしますか?逆に嫌いになりますか?それとも、仁王くんや幸村くんに―「しないよ、そんな馬鹿みたいなこと。」……、」

柳生が半ばやけのような気持ちで捲し立てた言葉をけたけたと笑いながら遮る。

「もともと万人に好かれよう、なんて思ってないしねー。逆にそれを隠したまま付き合われる方が嫌かな?」

思ってもみなかった彼女の言葉に柳生はポカンとする。そして、すぐに騙されてはいけない、と気を持ち直す。

けれど、彼女には取り繕ってる様子もなければ、嘘をついている様子もない。「まぁ、私個人の気持ちとしては柳生くんみたいな仲間想いな人は好きだしね。」

彼女はそう言うと、じゃあ昼休み終わっちゃうし私帰るね、と自分を嫌っている相手に何の邪気もない笑顔を向けて柳生の目の前から去っていった。

残された柳生は、少しの間立ち尽くしていた。
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